―昨年を振り返って。
「本州市場は発注量が減り、道内市場もシステム化投資の先送りがあるなど、新型コロナウイルスの影響が色濃く出た。(昨年12月現在)業績面は前年度を下回るが、暗い材料ばかりでもなく、追い込みをかけている。予期せぬ仕事をもらえたり、要員確保が厳しくても救いの手を差し伸べ合ったり、社内、社外で連携、協調の大事なものが見えた感謝の年でもあった」
―明るい材料は。
「働き方改革やデジタル化、(企業自体を変革する)DX推進で、自治体向けの庶務勤怠管理システムの受注や引き合いが増えつつある。昨年は創立50周年を記念し、苫小牧市などに図書管理システムのソフトウエアを寄贈したが、今後は小型ロボットを使った無人受付システム、ロボットが業務プロセスを自動化する製品RPAの需要の広がりに期待している」
―テレワークに積極的に取り組んだ。
「結論から言えば、まだまだ不十分。やってみて課題も浮き彫りになった。業務の成果をどう評価するか、コミュニケーションの取り方、紙の文化をどうデジタル化していくかなど。社内でワーキンググループをつくり、現場の声を拾い上げて整理している。当社のテレワーク率は30~40%だが、50%に引き上げたい」
―IT(情報技術)業界自体の動向は。
「日本自体が中国や欧米に比べ、デジタル化で大きく後れを取っている。国主導で進んでいくことになるが、地方自治体はもちろん、民間企業も追従することになる。きっと『何をどこからやっていくんだ』と悩みも出てくると思う。うまく後押しできるような姿勢で臨み、デジタル化が生み出す効果をしっかり提案することが業界の使命。サイバー攻撃の増加も懸念され、セキュリティー強化の需要に応えることも大事」
―今年の計画、展望は。
「大規模受注の谷間の年度で厳しい年になる予想だが、当社の軸のシステム開発はもちろん、独自性を出せるデータセンター事業、事務作業などを引き受けるアウトソーシング事業を伸ばしたい。社員200人が重要な財産で育投資と人事情報、人事評価システムを強化する。コロナ禍は地方都市に生きるハンディキャップを利点に変えられる。場所を選ばないビジネスの創出を発想の基盤に、次世代の事業戦略を組み立てる。ITをより身近に感じてもらえるよう取り組む」
メモ
IT関連業。苫小牧市や市内の企業が出資する第三セクターで、1970年に苫小牧電子計算センターとして創業した。苫小牧市表町1の1の11。