「たこ焼きじゃんけん」をご存じだろうか。めいっ子らの間で以前、はやっていた。記憶は少々あやふやだが、グーは「たこ焼き」、パーは「タコ」で、チョキの代わりに人さし指を立てて「爪ようじ」―だったと思う。勝敗は普通のじゃんけんと逆でグーはパーに勝つが、爪ようじには負ける。地方によってルールが若干異なる上、パーは皿だったり、箸を表すチョキが存在したりして、なかなか興味深い。
子どもたちが各地から集まると、勝負はいつも白熱。互いのローカルルールに一瞬、「あれ?」と戸惑った表情を見せるも決して自分たちのやり方を押し付け合わない。相違点ははにかんでスルーし、そこも楽しみながら柔軟に新ルールを成立させた。上手に曖昧と向き合う姿に感心した。
菅義偉首相の一貫性を欠く説明や曖昧な答弁は受け入れ難い。拍車が掛かってきているようにも思えるが、どれだけ質問と食い違っていてもスルーされてしまう。新語・流行語大賞候補に選ばれた「総合的、俯瞰(ふかん)的」も相手に言質を取らせない方便だろうが、脇目も振らず目標に突き進むことだけが政治ではない。今は再拡大する新型コロナウイルスへの対応に強い関心が集まっている。しっかりと向き合う余裕を持つことこそが遠回りなようで、むしろ肝心ではないか。庶民派を掲げるならばなおさらだ。きょう18日から菅首相にとって初めてとなる通常国会。(輝)