胆振総合振興局の花岡祐志振興局長は15日、苫小牧保健所で記者会見し、胆振管内の新型コロナウイルス感染状況を説明した。直近1週間(6~12日)の人口10万人当たりの新規感染者数は17・86人と、札幌市を中心とした全道の21・49人に迫る高水準にあり今後、感染症指定医療機関・苫小牧市立病院の増床も必要との認識を示した。
同振興局は同日、室蘭市内で新型コロナウイルスコロナ感染症対策地方本部の第6回地方本部員会議を開催。その後、花岡局長が来苫し、会見に臨んだ。
管内の新規感染者数を、1週間単位でまとめたグラフで傾向を解説。それによると、昨年12月1日時点の新規感染者(1週間合計)は9人だったが、同21日時点では140人とピークに達し、人口10万人当たり感染者数も35・72人と国が示す、感染状況が最も深刻な「ステージ4」の基準25人を超える危機的状況に至ったという。
年末に向け、新規感染者数(同)は50人を下回ったが、12月30日以降に再拡大。今月12日時点で70人となった。クラスター(感染者集団)はこれまでに飲食店や医療施設、学校、事業所などで17件(354人)に上るが、うち14件(326人)が昨年11月以降に発生している。
花岡振興局長は「胆振は全道でも感染の割合が高い。札幌、新千歳空港と比較的近く、往来が他地域よりも多い」と指摘。管内で感染が発生した場所として▽飲酒を伴う会食や会合▽職場内の休憩室や更衣室、喫煙所▽家庭内―の三つを挙げ「長時間や大勢で飲食していた事例もある。家族から、さらに家族の勤務先、そして同僚と2次、3次、4次の感染拡大が考えられるケースもあった」と明かした。
共通した行動履歴として、「マスクをしていなかった」点に触れ、「マスクを外すときには声を出さない、声を出すときはマスクを着けてほしい」と強調。感染対策を強化するため、今後、飲食店が対策を学ぶ機会を設ける考えを示した。
東胆振唯一の感染症指定医療機関である苫小牧市立病院のコロナ感染症病床は現在12床だが、「増やすことをお願いする時期に来ている」と説明。同病院では昨年12月に感染者が発生したため増床の要請は見送り、管内の指定医療機関以外の民間医療機関でコロナ感染者を受け入れたことも明らかにし、「医療が必要な方には提供できているが、厳しい状況が続いている」と述べた。