―昨年を振り返って。
「会社や地域にとって前進の年になると思っていたが、新型コロナウイルス禍で状況が一変し、リスク認識と事業継続の重要性について改めて考えさせられた1年だった。事業はフェリーターミナル運営と不動産の2本柱で、特に感染症対策を講じながらフェリーの定時運航を確保することが大事だ。現場で密回避のための待機室を増設したり、事務系若手社員の実務研修を実施して約20人のバックアップ要員を育成したりした。ウェブ会議の本格的な導入やテレワークの試行など、対策により厚みを持たせたい」
―2020年の事業評価は。
「フェリー部門は緊急事態宣言や移動の抑制などを背景に旅客が前年に比べ約4割減で推移した。トラックなどの物流も若干減少となっている。不動産部門については、施設の集約や老朽化対策を進める企業などから産業用地の引き合いがあった。ウトナイ地区の住宅分譲も20年度中に完了する見通しなど、コロナによる大きな影響は出ていないが全体的に緊張感を持ち続け、今後の推移を注視する必要がある」
―新年の事業展開は。
「フェリー部門は、感染対策を講じながら安全・安定運航を確保していくことが大命題。旅客の戻りは遅いかもしれないが、6月に八戸航路に新造船が投入されるなど明るい材料もある。苫小牧中央インターチェンジの開通も物流効率化や観光客の利便性向上に資すると期待している」
「不動産部門は、物流拠点、苫小牧の優位性を顧客に訴えていく。21年秋にウトナイ地区で約100区画の新たな住宅用地造成が終わる。拓勇地区やウトナイ地区は直近で人口、世帯数が増加しており、住宅のニーズは底堅いと考えている」
―会社の考え方は。
「1958年の設立以来、苫小牧港の発展と共に歴史を積み上げ、『地域とともに歩む』の姿勢を持ち続けてきた。コロナ禍で難しい環境だが、事業を通じて地域に貢献できるよう役職員一丸となって一層働きがい、存在意義がある組織をつくっていきたい。市や商工会議所、地域の企業などと少子高齢化に対応したまちづくりの研究会を発足させた。この組織をベースにまちづくりの知見も蓄積して、今後のビジネスに生かしたい」
メモ
苫小牧西港フェリーターミナルの運営や用地造成分譲などを手掛ける。1958年設立。苫小牧市入船町2の9の15。