アイスホッケーアジアリーグの王子イーグルスが、今年4月のクラブチーム化から「レッドイーグルス北海道」の新名称で活動することになった。なじみ深い「イーグル」(ワシ)のほか、チームカラーの「レッド」、全道のアイスホッケー界を背負って立つ覚悟を込めた「北海道」を組み合わせた。王子ホールディングス内には準備室も設置され、2009~11年まで同チーム部長を務めた竹俣一芳氏(61)が室長に就任。新たな歴史を築くための準備が進み、当地の競技関係者や応援する人々からは期待の声が上がる。
市内を中心に80社ほどの企業が加盟する王子イーグルス後援会の伊部廣明会長(74)は「市民になじみのあるイーグルスの名が残って良かった。より選手たちが地域のさまざまな場所で登場してくれることを願っている」と話す。
クラブチーム化準備室の竹俣室長については「部長時代はよく試合会場に顔を出す熱心な方だった。アイスホッケーにとても理解があると思う」と語った。後援会は今後、同室などチーム関係者と連携しながら会の刷新と増強を視野に入れ、支援体制を整えていく考えだ。
現チームに所属するFW高橋聖二の父で、王子の主将や監督も務めた啓二氏ら数々の名選手を送り出してきた苫小牧東高アイスホッケー部。DFの斉藤愁馬主将(17)=2年=は王子の試合を小学生の頃からよく観戦し、技量向上の参考にしてきた。「これからもアジアリーグで強さを見せつけてほしい」と言う。
同部と兼ねて女子アイスホッケーの道路建設ペリグリンにも在籍しているFW鎌田美南(16)=2年=は、父一也さんが王子の選手だった。チーム名について「歴史ある名前だったので少し寂しさもある」。クラブ化で所属選手がより地域の競技者らと交流する機会が増え、「苫小牧のアイスホッケーが盛り上がるような取り組みをしてほしい」と期待した。
アジアリーガーになろうと夢見る小学生は、さらなる活躍を望んでいた。バーニンバレットの花田賢信主将(12)=緑小6年=は「アジアリーグ制覇を目指してほしい」と話した。苫小牧小学生アイスホッケー同好会連合会の佐藤守会長もクラブ化の流れを受け止めた上で、「チームの継続性をしっかり維持して、今後も子どもたちに夢を与えるチームになってくれれば」とエールを送る。
今回の一連の発表を受けて王子イーグルスを率いている菅原宣宏監督(45)は「会社側が新体制に向けて丁寧に準備を進めてくれている」ことに感謝しながら、「自分たちはしっかり結果で応えていかなきゃいけない」と気を引き締めていた。
苫小牧市の岩倉博文市長
(王子イーグルスは)「氷都苫小牧」にとってシンボル的なチーム。競技に打ち込む子どもたちの模範になってほしい。苫小牧がトーンダウンしたら、日本のアイスホッケーがなくなってしまうのではないか―という危機感がある。歴史を次代につなぐため、市としてもサポートしていかなければならないと思っている。