―融資や預金の状況は。
「昨年12月末時点で、預金積み金は4928億円となり、前年比422億円増。貸出金は2386億円で、171億円増加した。貸出金は、新型コロナウイルス関連の融資が増えたことがプラス要因。預金積み金については、特定定額給付金として振り込まれた資金が滞留した」
「昨年2月に相談窓口を開設し、事業者に対する資金繰り支援にいち早く取り組んだ。関連融資の実施状況は945件、182億円(12月末時点)。地域経済を金融面から支える使命を果たすことができた。2020年度上期の仮決算は当期純利益10億3800万円で、前年までの減収減益から一転して増収増益となった。コロナの影響で、実力よりもかさ上げされた結果であると考えている」
―長期経営計画(とましん「共創力」発揮3か年計画)の進捗(ちょく)は。
「22年度までの計画だが、預金積み金と貸出金、有価証券が大幅に増加し、すでに今年度の計画値に到達している。このうち預金積み金の平均残高は22年度の計画値を上回り、有価証券の平均残高も同年度の数値を上回る見通しとなった。このため、今年度下期の動向を踏まえた上、見直しも検討する。一方で、金融教室や催事活動などは新型コロナの影響で中止が相次いでいる」
―新年の経営方針、戦略は。
「金融業界にとっては今年もコロナの影響を受けた事業者や生活者の支援が最優先課題となるが、デジタル化や地域金融機関の再編が加速する年になるのではないか。21年度の重点施策は営業基盤の拡充、人材の確保・育成、収益力の強化。コンサルティング機能を強化して金融サービスを提供し、取引先の拡大、営業地域内のシェア向上を実現させる。若手職員の離職防止や担当以外の業務にも対応できる人材育成に取り組んでいく」
「金融業界では以前から非接触、非対面型サービスが増加していた。コロナ禍でその動きは加速していくとみられる。ただ、信用金庫はフェーストゥーフェースをモットーとしていることから、対面の営業活動を継続しつつ補完するものとしてウェブ完結型ローンなどIT技術を駆使したツールの拡充を図る。ウェブ会議に関しては、機器を調達して各種会議や研修などで活用していく方針だ」
メモ 1948年設立の地域金融機関。新型コロナ流行を受けた相談窓口を開設、緊急融資制度も扱う。苫小牧市表町3の1の6。