―2020年を振り返って。
「新型コロナウイルス感染拡大で経済活動が停滞した影響を受けた。事務方の従業員は、春先に時差出勤を実施。現場の従業員も一般的な感染防止対策を徹底し、24時間体制で生産に当たっている。紙製品の需要減が加速し、(主力の)新聞用紙の販売も前年より落ち込んでいる。新聞自体の発行部数、ページ数が減少。特に商業印刷の用途で集客やイベントなどの自粛により、カタログやポスター、チラシの需要減を受け、印刷用紙も前年より販売量が落ち込んだ」
「一方、明るい話題も。出版用途では外出自粛が影響してか、社会現象になった一部コミックのヒットにより、コミック向け用紙がプラス要因となった」
―昨年は新聞用紙を生産する抄紙機の改造、停止を行った。
「すでに発表した通り、国内需要の構造的な変化に対応するため20年度上期にN―5号マシンを停止し、段ボール原紙やクラフト紙を生産できるよう設備の改造を行っている。9月末にはN―1号マシンを停止した」
「N―5号マシンの改修については当初の計画通り進んでいる。段ボール原紙の生産に向けた準備を進め、21年度上期に生産を開始する予定だ。業界全体の数字を見ると、段ボール原紙もコロナの影響を受けているが、新聞用紙などに比べて需要は下げ止まっている状況にある」
―課題は。
「製紙業界全体の現状として、紙の生産自体が収縮している。自社では変化に対応するため、生産体制の再構築に取り組んでいる。関連会社の王子マテリア名寄工場から段ボール原紙の生産部門を移管した上で、抄紙機1台を移設、22年度から生産開始する計画も進めている」
―21年の展望を。
「コロナ禍がどうなるかによって状況は大きく変わり、不透明な部分も多い。感染者数が急増した場合、製品の生産量が急激に変化することも考えられる。ただ、コロナ流行前からの傾向として新聞用紙の需要の減少の流れは変わらないのではないか。改修している抄紙機の体制を整え、企業としてあらゆる戦略を立てながら、苫小牧工場で紙の生産を続けていく方針は変わらない」
メモ
新聞用紙を中心に生産しているが、21年度から段ボール原紙やクラフト紙の生産も行う。苫小牧市王子町2の1の1。