高校バスケットボールの頂点を競うウインターカップ。23日から東京体育館をメーン会場に開かれ、北海道代表として男子の駒大苫小牧と北海道栄の2校が苫小牧地区からそろって初出場した。駒大苫は前橋育英に78―82、道栄は海部に76―77で、それぞれ惜敗。共に1回戦敗退で涙をのんだが、東胆振の両雄が夢の舞台で躍動する姿を見せた。
11月に帯広市で開かれた北海道予選では駒大苫が初優勝。道栄も初めてベスト4による決勝リーグ進出を果たし、準優勝に輝いた。苫小牧地区代表が男子道代表枠を独占する快挙を成し遂げ、駒大苫の藤岡大翔主将は「駒沢の『全員バスケ』を後輩に残せるようにプレーしたい」、道栄の多田悠馬主将は「背が小さくても戦えることを全国の舞台で証明する」と大会直前の取材に応えていた。
両チームを指導するヘッドコーチ(HC)にとっても悲願のウインターカップ出場が実現した。駒大苫を率いる札幌市出身の田島範人HCは名門、能代工業高卒業後、道内の建設機材リース会社勤務を経て、苫小牧駒沢大に入学。卒業後に駒大苫高に赴任し、男子バスケ部のHCに就任した。指導歴19年目にしてつかんだ全国切符だった。田島HCは「長かったが、ようやくウインターの舞台に立てるのでわくわくしている」と大会前の取材に語っていた。
道栄の木村匡宏HCは、14年目でウインターカップ出場を果たした。木村HCは江別市出身。新潟商業高3年時には、主将として高校総体優勝に貢献し、日大4年時にも主将としてインカレ制覇を達成している。輝かしい選手時代を過ごしたが、「選手としての経歴は指導者となった今は関係ない。いかに自分の経験を生徒に伝えられるかが大事だと思っている」と語る。
初戦突破にあと一歩及ばなかったが、地域の競技関係者からは、健闘をたたえる声はやまなかった。凌雲中男子バスケ部で顧問を務め、同部を全国中学体育大会出場に導いたこともある苫小牧地区バスケットボール協会の南一也会長は、2校の戦いぶりについて「どちらも惜しい試合だった」と語る。「今回の経験は後輩にとっても自信になったと思う。これからも全道から目標とされるチームとして、より高いレベルを目指してほしい」と期待を口にした。
記者にとっても初の出張取材。2校が味わった悔しさを間近で見て、紙面を通じて読者に伝えた。来年は勝報を東京体育館から届けたい。
(石井翔太)
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暮れゆく一年、印象に残った取材を本紙スポーツ担当記者が振り返る。