5「紙のまち」の転換点 紙の需要低迷生産体制を再構築

  • この1年 2020, 特集
  • 2020年12月25日
岐路に立つ製紙会社。苫小牧での今後の事業展開が注目される

 苫小牧市の基幹産業である製紙業は今年、大きな転換点を迎えた。王子製紙苫小牧工場は新聞用紙を生産する抄紙機1台を停止し、段ボール原紙やクラフト紙の製造設備に改造している。日本製紙は長年、勇払で続けた洋紙生産を停止。商社と木質バイオマス発電所を建設するほか、米国企業と合同会社を設立して特殊用紙の生産に向けた準備を進める。

 王子製紙苫小牧工場は、新聞用紙を生産する抄紙機「N―5号マシン」(年間生産能力20万トン)を今年上期で停止。7月に安全祈願祭を行い、段ボール原紙や紙袋、包装用紙などに使用されるクラフト紙の製造設備への改造を進めており、2021年度から生産活動に入る。新聞用紙の需要減を受け、1964年から稼働していた「N―1号マシン」(同12万トン)も9月末で停止した。

 王子グループ全体で、生産体制の再構築が加速。2021年12月に閉鎖する王子マテリア名寄工場(名寄市)から段ボール原紙生産部門を22年度に苫小牧工場に集約し、抄紙機1台を移設する計画も進む。抄紙機は従来の8台から21年度に7台、22年度には8台となる見通し。同工場の従業員約520人態勢は維持し、同社は「紙の生産は今後も続けていく」と強調する。

 日本製紙は、1月に勇払事業所の洋紙生産を停止。前身の会社が1943年に操業を開始してから77年続いた紙づくりに幕を下ろした。5月には北海道工場を白老工場と旭川工場に分割、釧路工場の抄紙機などを2021年9月で停機することも明らかになった。

 勇払事業所の洋紙生産停止で、地域経済や雇用への影響が懸念されたが今年2月に日本製紙パピリア(東京)がデュポン(米国)の子会社と合同会社を設立して電気絶縁素材「ノーメックス紙」の生産を行うと発表。21年度中の生産開始を目指し、既存設備などを生かした改修工事が行われている。

 このほか、総合商社の双日(東京)と昨年2月、「勇払エネルギーセンター合同会社」を設立し勇払で木質バイオマス発電所を建設中。約7万平方メートルの敷地内にボイラーやタービン棟などを設置し、23年1月の営業運転開始を目指す。

 同社は「将来性のある機能性特殊素材事業と発電事業を勇払の地で行うことは『洋紙事業の生産体制再編成と自社設備の最大活用』という経営方針に沿った施策」と説明する。

 苫小牧は豊富な水資源や原料供給地(森林)の近接などを背景に、製紙業で栄えた全国有数の紙のまち。デジタル化の進展などによって紙の需要が低迷する中、既存の設備や技術を生かし、成長分野も見据えて社会に必要とされる製品、サービスをいかに提供していくか。再生可能資源である木材から多様な素材を生み出す製紙会社の新たな事業展開が注目される。

 (室谷実)

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