㊥ 発生しても被害最小限に 早期発見と対応、相互救援を

  ▽交通ルールで言えば

   新型コロナウイルスを交通ルールで例えると、濃厚接触者になるということは交通ルールに違反したということ、感染することは交通事故に遭ったようなものです。

   どこに新型コロナウイルス患者がいるか分からないことと、どこにネズミ捕りがいるか分からないことは似ています。濃厚接触者になると出勤できないことと、交通ルール違反をすると罰金を科されたり点数を取られたりすることも似ています。

   濃厚接触者にならなくても感染する場合があることは、交通ルール違反をしなくても交通事故に遭う場合があるようなもの。さらに濃厚接触者になっても感染しないことがあることは、交通ルール違反をしても交通事故に遭わないことがあるようなものです。

   今シーズンは交通ルールを守った方が良く、そうすることが施設でも在宅でも感染対策になると私は思っています。

   ▽施設でできる対策

   介助時にあるといいPPE(個人用防護具)は次のような物です。

   記録を書く、話をする、みんなで体操をするという時はサージカルマスク。相手がマスクをしていない時は目を保護する物です。

   環境整備やトイレ掃除をする時はサージカルマスクとエプロンと手袋。入浴介助をする時は暑くてもサージカルマスク、目を保護する物、エプロン、手袋をしましょう。食事、トイレ、排せつ介助も同じです。袖付きエプロンを身に着けるようにし、ない場合は肘まで消毒すれば大丈夫だと思います。

   職員同士でできる対策もたくさんあります。自分や家族の体調不良は出勤前に管理者に報告する、食事は1人ずつ取るなどです。チェックリストなどで確認し、職場で感染を広げないことが大切です。また、備蓄品を施設でしっかり用意しましょう。必要な物を普段からリストにしておくと役立ちます。

   ▽まとめ

   新型コロナウイルス感染症への対応はこれからが本番です。施設に影響が及ぶことは、他の感染症と同じように避けることはできません。

   発生しないように予防することはもちろん大事ですが、発生しても被害を最小限にする工夫と準備をしましょう。そのためには、感染予防対策と普段からの準備が欠かせません。

   ポイントは、早期発見と早期対応、認知症の人の感染対策、相互救援体制。とにかく標準予防策を守ろう、普段から準備しよう―です。

  (大友宣医師)

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