とまこまい医療介護連携センターや苫小牧市、市医師会は今月、「医療・高齢者施設のクラスター(感染者集団)事例から考える新型コロナウイルス感染症対策」をテーマにオンラインセミナーを開催した。クラスターの終息に尽力した静明館診療所(札幌市)の大友宣医師と、栄町ファミリークリニック(同市)の中川貴史医師が語った感染対策の要旨を全3回で紹介する((上)(中)は大友医師、(下)は中川医師)。
▽地域包括ケアが必要
入居者が感染したかどうか分かるまでに、介護施設ですべきことは早期隔離です。これをすると感染は広がりません。あとは早期の診断と対応が大事になります。
また、いろんな所で出しているクラスターのチェックリストなどを活用し、一つ一つ丁寧に対応していくこと、BCP(非常事態時に損害の発生を最小限にする事業継続計画)を策定していくことが重要です。
この新型コロナウイルス感染症は、誰かに任せきりにして乗り越えられるものではありません。地域包括ケア(自助、互助、共助、公助)といったものを組み合わせて対策を進めていくことが必要と言えます。
▽施設での感染症
施設や病院でのクラスターは、市中で感染がまん延している時に発生しやすい。若者などの間である程度広がると、感染が起きやすいのです。
医療体制が逼迫(ひっぱく)していると、施設の入居者が入院できない場合があります。今はそういう状況で、札幌市では実際にそういうことが起きています。
職員が感染したり濃厚接触者になったりしても、人員不足を補うための応援派遣は簡単に受けられず、医療の支援も受けにくくなります。
▽標準予防策が重要
標準予防策とは、患者と医療従事者の双方が感染の危険性を減少させるために標準的に講じる感染対策。これをすることが、感染を施設に入り込ませない、入り込んだとしても感染を広げないために、最も重要です。
感染が広がってクラスターになった場合も、標準予防策が一番大事。予防策は分かっているつもりでも、全員が順守することは並大抵のことではなく、病院でできていないこともあるかと思います。
だから、接する人、誰もが新型コロナウイルスを持っていると考えて対応し、罹患(りかん)しないことが大事になります。