「今、コロナで入院している患者の看護を最優先するため」―。18日夕に苫小牧市役所で開かれた臨時記者会見で苫小牧市立病院の松岡伸一院長は、感染症病棟の看護師が感染したことなどを受け、診療体制の一時見直しと感染症病棟に他病棟の応援スタッフを配置する考えを示した。また、道内では感染者が急増し、現状では東胆振のコロナ患者の受け皿が厳しい状況にあるため、道に現状を説明した上で他の医療機関での受け入れ調整を求める意向も示唆した。
同病院は東胆振唯一の感染症指定医療機関で、感染症病棟では12病床を確保している。会見では、同病棟に勤務する看護師37人のうち、2人のコロナ陽性を確認し、6人が自宅で2週間の健康観察中と説明した。一度に8人のマンパワーが不足した格好で、コロナ患者の病床調整を担う道に「新規患者の受け入れは難しい」と伝えたと言う。コロナ感染者を含む入院患者に対しては他の病棟からの応援で対応する考え。
松岡院長は、現在入院中のコロナ患者の多くは高齢者で食事介助の必要があるなど、看護度が高いことを強調。「無理に受け入れ、院内感染を広げると大変なことになる。対策は厳重に考えないといけない」とし、新規入院や外来患者の受け入れ制限、不急の手術延期などの対応を取ることに理解を求めた。このまま収束した場合は「年明けからは元に戻せると思う」との見通しを述べた。
東胆振では、コロナ患者の対応を指定感染症医療機関である市立病院だけに集中させ、王子総合病院を含む他の医療機関とリスク分散をしてきた経緯がある。最近は胆振、日高管内で感染が拡大している上、日胆管内や道央圏のコロナ対応医療機関で病床が逼迫(ひっぱく)している現状にあるため体制強化が必要といい、19日に苫小牧入りする道の担当者と他医療機関での受け入れに向けた調整を図る予定という。
会見に同席した岩倉博文市長も「感染状況にもよるが、今後4、5日は緊張感を持って見ていかなければ」と指摘。王子総合病院や医師会、苫小牧保健所などと連携しながら「市民の健康、命を踏まえた時にどういう方向で取り組むのがよいかを医療関係者全員で考え、対応していく必要があるのではないか」と述べた。
松岡院長も「道は現状を理解していると思う。何とかしてくれることを願いたい」と切実に訴えた。