オーストラリア在住の小河さんには、2人の子どもがいる。小学1年生の息子、野之助君(7)と幼稚園の3歳児クラスに通う娘、こがねちゃん(4)だ。今のメルボルン中心部は登校や登園が再開されているが、野之助君が通う学校では3月下旬~10月中旬の多くが遠隔授業になった。
野之助君は、学校にあるタブレット端末が貸し出され、オンライン会議システム「チームズ」を活用した対面式のウェブ授業となった。授業があるため「これまでの長期休みよりも(子どもは)規則正しい生活ができていたように思う」と小河さんは話す。
児童たちが意見を発表する時間や体育の授業も遠隔で実施。豪州は庭がある家庭が多く、授業の一環でボール遊びをすることもあったが、在宅勤務を強いられている近隣からは、ボールの音が気になると指摘されることもあったという。
一方、こがねちゃんが通う幼稚園でも、自宅のパソコンを使ったリモート学習が行われた。ウェブ上に、工作や昼食、昼寝におやつの時間まで組み込んだその日の時間割が掲示され、それに沿って自宅で活動を行う自習形式だ。
先生たちは、歌にダンスなど自作の教材動画も掲示。「(画面越しの)先生の姿が娘をハッピーにしてくれた」と振り返る。中には、自身の子を動画に登場させる先生もおり、「先生ファミリー(家族)とクラスの子ども、親たちがみんなで今学期のプログラムを作っているようだった」と語る。
専業主婦の小河さんは、わが子のそばで助言していたため、「先生より口うるさかったかも」と笑う。
そうした中の外出で目にしたのは、近所のワインバーで、子どもたちの遠隔授業期間にのみ販売された持ち帰りのディナーセット「ホームスクール・サバイバル・パック」。和訳すると、自宅教育を乗り越える一式で、アルコール飲料も含まれていた。ブログでは「ホームスクールが誰にとってサバイバルなのか。乗り切るのにご褒美(おいしいお酒とお酒に合う料理)が必要なのは親の方ってこと、(店の人は)よく分かっている」とユーモアを交えながら紹介している。
日本に帰国し、同法人の活動に直接関われるようになれば、豪州で見た経験を生かし「先生たちをサポートすることも企画したい」と展望している。