苫小牧漁業協同組合の錦多峰さけ・ますふ化場(苫小牧市錦岡)で23日、今季のサケの採卵作業が終了した。苫小牧沿岸の定置網漁は不漁が続く中、受精卵450万粒を目標通り確保できる見通し。漁業者や漁協職員は来春以降の資源回復に期待を寄せている。
苫小牧漁協が胆振管内さけ・ます増殖事業協会(白老町)のふ化事業を受託している。鉄製のおりや柵の仕掛け「うらい」を錦多峰川下流に設置し、遡上(そじょう)する親魚を確保。ふ化場で人工授精し、同協会で稚魚を育て、春に錦多峰川に放流している。
今年は親魚1万8000匹、受精卵450万粒の確保が目標。8月27日に親魚の捕獲、9月28日に採卵作業をそれぞれスタートした。秋サケ定置網漁は今年も不漁で、密漁への警戒態勢を強化しながら事業を実施。10月末までに親魚は目標数を上回ったという。
11月に入って親魚の遡上はほぼなくなったが、最終日のこの日は約80匹を確保。漁協職員ら10人で午前7時半ごろに採卵作業を始めた。雌の腹を割いて取り出した卵が入った容器を、ろくろのように回しながら雄の精子を掛けてかき混ぜた。作業は手際よく、10分間ほどで終了。稚魚は来春、放流される。