新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今年は苫小牧市内でも経済団体などが主催するセミナーや講演会の中止が相次いだ。一定の人数が集まると、「密」になりがちなためだ。夏以降は、オンライン会議システムを活用するなどして再開が本格化しつつあったが「第3波」とも言われる状況に各団体は不安を抱え、試行錯誤しながら知識向上や親睦の機会の在り方を探る。
企業の経営者らでつくる内外情勢調査会苫小牧支部は10月、市内のホテルで8カ月ぶりに懇談会を開いた。参加者数は従来通り約20人だったが、会場は以前の部屋よりも広い会議室を確保。参加者同士の距離を保ちながら、SDGs(持続可能な開発目標)について学んだ。「会員に戸惑いはなかった」と菊池康真事務局長。
北海道中小企業家同友会苫小牧支部も2~5月は例会を開けなかったが、6月に再開した。会場で出席者の検温、消毒を実施し、オンライン会議システム「ズーム」も併用。高橋憲司支部長は「感染対策を徹底させれば、仲間と会うことができる」と手応えをつかんでいた。
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しかし、10月以降は市内でクラスター(感染者集団)が発生するなど胆振管内で感染者が急増。道が独自に定めた5段階の指標「警戒ステージ」も全道で「3」、札幌市については「4」相当に引き上げられた。全道的な感染拡大に歯止めが掛からず、各団体は今後の対応について再検討を余儀なくされている。
内外情勢調査会苫小牧支部は「さらなる警戒ステージ引き上げや国が新たに動く状況になれば中止も検討する」と説明。12月以降の例会は未定としている。北海道中小企業家同友会苫小牧支部は25日に予定していた例会を中止。担当者は「12月の例会は開催予定だが、状況をしっかり見極めたい」と話す。
苫小牧商工会議所は18日、警戒ステージ「3」における対応の指針をまとめた。感染リスクを最小化しようと、会議の開催方法や条件設定などを定めた。同商議所が苫小牧経済センタービルで会合を開く場合、時間は60分以内とし、人数も6階のホールで40人以下、3階会議室で10人以下などと設定。イベントは中止または延期とした。
セミナーなどは感染防止を徹底させながら実施しているが、15日に予定していた婚活パーティーは延期するなど、内容を考慮しながら可否を判断。同商議所の冨田聡子専務理事は「春先とは状況が違う。注意喚起しつつ、商議所の指針を会員に伝えていきたい」と語る。ステージ「4」の対象地域に関しては他団体主催の会議やイベント参加も不可とするなど、危機意識を高めて対応を進めている。
(室谷実)