来春卒業予定の高校生を対象にした採用活動が解禁されて1カ月が過ぎた。新型コロナウイルス感染拡大の影響により1カ月遅れで始まったが、厳しい経済情勢を反映するように求人は減少。苫小牧市内では多くの生徒が卒業までに内定を得られる見通しだが、進学を希望する生徒が増えた学校も。それぞれコロナ禍の就職活動を手探りで進めている。
今年は臨時休校の長期化を受け、採用選考の開始日が初めて後ろ倒しになった。例年より1カ月遅れの10月16日。苫小牧公共職業安定所によると、管内(東胆振1市4町、日高町、平取町)の新規高卒予定者1747人に対し、就職希望者は前年同期比44人減の538人、求人数は192人減の854人となっている。求人倍率は0・21ポイント減の1・59倍。
苫小牧総合経済高校は3年生148人のうち83人が就職を希望し、その3分の2近くが内定を獲得したが、前年同時期の内定率約8割には達していない。解禁が1カ月遅れで一概に例年と比較できないが、求人が減ったことで生徒の選択肢は狭まっているようだ。小笠原聡進路指導部長は「企業からの求人は2割ほど落ち込み、特に事務の求人は4割ほど減った。観光は求人がない」と嘆く。一方、解禁の遅れで生まれた時間を「ミスマッチを防ぐ企業訪問に時間を費やせた」と強調。「希望者のほぼ全てが卒業までに内定をもらえるのでは」と語る。
駒大苫小牧高校は3年生265人のうち、就職希望は2割に満たない47人。就職指導を担う野尻美栄子教諭は、コロナ流行下の特徴として「進学希望者が増えている」と指摘する。就職先としては地元の製造業や販売業を希望する生徒が多く、現時点の内定率は前年とほぼ同じ約8割という。
苫小牧西高校も3年生151人のうち42人が就職を希望しているが、現時点での内定率は昨年と同水準の9割超。第1志望の建設業から内定を獲得した加賀谷星弥さん(17)は不安を抱いて就職活動に臨んだが「職場見学などを通して、自分に合う仕事を見つけることができた」と振り返る。
行廣隆司教頭は「求人が大幅に減った業種もあるが、生徒たちはその中で決めている」と生徒たちの思いを代弁。「就職志望の傾向はほぼ例年通り。多くの生徒は順調に内定を得られている」と胸をなで下ろしつつ、「中にはコロナのごたごたで方向性を見失っている生徒もいる」とみて、粘り強く生徒指導に当たっていく構えだ。
(高野玲央奈)