女子軟式野球クラブの苫小牧ガイラルディアが好調を維持したまま今季を終えた。最終の公式戦となった第6回羊ケ丘病院杯北海道大会(10月、札幌市)で優勝し、新型コロナウイルスの影響でさまざまな困難に直面した異例のシーズンを締めくくった。大滝裕生雄監督は「この勢いで来年は全日本制覇を達成したい」と展望する。
今回の羊ケ丘病院杯は道内9チームが出場し、トーナメント戦を繰り広げた。苫小牧ガイラルディアは2回戦から登場して北海道グルービー(札幌)を6―0で下すと準決勝では函館ドルフィンズに5―2で危なげなく勝利。
決勝では、札幌シェールズに7―0で圧勝した。3試合通じてわずか2失点。チームのテーマ「守り勝つ野球」を体現した格好で「特に投手陣が随所で好投を見せてくれた」と大滝監督は手応えを語った。
昨年8月、東京開催の全日本選手権大会に出場を果たし、1、2回戦を勝利したものの準々決勝でパラドックス(相模原市)に2―6で敗退。続く全道秋季大会では4連覇を逃し、悔しさが残った。
今年は再起を目指した。しかし、新型コロナの影響が広がり、予定していた公式戦が延期や中止に見舞われた。全道春季は7月にようやく札幌市で開かれ、優勝した。8月に行われた秋季大会(函館市など)でも栄冠を奪還し、強豪の意地を見せた。会社員で外野手の宮田樹莉亜主将は「練習に対するモチベーションが昨年より上がって、結果につながった」と振り返る。
メンバーの中でも、中学3年の小鹿未來が投手陣の一角として急成長を遂げた。春季大会では、オホーツクスマイリーズ(網走)との最終戦で完封勝利し、大会の最優秀選手賞を獲得した。「昨年までは打たせて取ることが多かったが、今年は三振を取れるようになった」と小鹿。大滝監督も「変化球が増え、制球が向上した」と高く評価する。
会社員で1番打者の外野手、小澤妃奈も好調をキープした。羊ケ丘病院杯決勝では2安打と四球、振り逃げの4打席すべてで出塁し、2度本塁を踏んでいる。小澤は「昨季は打率も出塁率も低かったが、今年はそのどちらも改善できた」と言う。打点が少なかったため、「来シーズンに向けて、チャンスで打てる打者になれるよう練習に励む」と意識を高めている。
来年、札幌市で開かれる予定の全日本選手権の出場権は、今年の秋季大会と来年の春季大会の成績に基づいて出場チームが決まる。今年の秋季大会優勝でガイラルディアは全国切符獲得に最も近い位置にいる。宮田主将は「室内練習になる冬の期間をどう過ごすかが来季に大きく影響する。チームとしてパワーアップして、来年こそは全国制覇を果たしたい」と語っていた。