紅葉と初雪 冬近づき動物も準備中 木のうろに忘れ物?

  • 支笏湖日記, 特集
  • 2020年11月13日
うっすらと雪が積もった山々と湖畔の紅葉(10月25日撮影)

  紅葉を楽しみに多くのお客さまがいらしていた支笏湖で、10月24日に樽前山・風不死岳・恵庭岳の初冠雪、11月5日に温泉街でも初雪を確認しました(支笏湖ビジターセンター観測)。初冠雪の日は雲が懸かっておりはっきりとは見えませんでしたが、翌25日には青空も少し顔を出し、園地の紅葉と合わせてきれいな景色を望むことができました。紅葉の見ごろ時期に冠雪した様子が見られると、どちらも楽しめて何だかお得な感じがします。

   冬の足音がすぐそこまで聞こえてきている支笏湖では、動物たちも忙しく越冬の準備を始めています。その中に、寒い寒い冬を越すために「貯食行動」と呼ばれる習性を持つ動物がいます。エゾリスもそうで、大好物のドングリやクルミなどの木の実を秋のうちに巣穴に運んだり、地面に穴を掘って埋めたり、葉っぱをかけて隠したりと何カ所にも分けて食料を保管します。誰かに横取りされても困らないようリスク分散をしているのでしょうね。そんなこんなで、好物の木の実がたくさん手に入る秋は大忙しで一日中走り回っています。

   彼らは冬眠しないので、冬でも外を歩き回りますが、雪の上から埋めた場所をどうやって特定するのか、雪を掘り返して木の実を食べるそうです。こんなビックリするような能力を持っている半面、たくさん隠し過ぎて、頑張って集めた木の実の隠し場所を忘れてしまうこともあるとか…。

   先日、支笏湖畔園地を歩いていると、木の根元にできた空洞の中で地面からドングリが芽を出しているのを見つけました。リスさんの忘れ物でしょうか。そのドングリを眺めながら、リスさんが越冬準備に忙しく走り回っている様子を想像してクスっと笑ってしまいました。冬の訪れをすぐそこに感じる支笏湖で冬準備のために忙しく走り回る動物たちを見つけたときは優しく見守ってくださいね。

  (支笏湖ビジターセンター自然解説員 佐々木香澄)

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