接戦が続く米大統領選は泥仕合の様相を呈し、最終的な開票結果判明までにはなお時間を要する見通しだ。見るに堪えない混乱ぶりで早期決着を望む。
一方、世界ボクシング協会(WBA)と国際ボクシング連盟(IBF)の統一チャンピオン井上尚弥選手は、ラスベガスで行われた防衛戦で豪州の挑戦者に7回KO勝ちし、防衛に成功した。これでプロデビューから20戦無敗。強いのひと言だ。いつもそうだが、井上選手は勝利インタビューの際に「井上家としては」という言い回しで試合を振り返る。勝因を問われれば「家族の支えが9割」などと言い切る。強い絆に支えられてきたボクサー。父真吾さんはトレーナー、弟拓真さんは前WBC世界バンタム級暫定王者、いとこの浩樹さんも元プロの献身的サポーターであり、同志だ。新型コロナウイルス流行で選手や陣営の動きが厳しく制限される環境下、一家の支えは心強かったに違いない。
そんな井上選手には、特別な「勝利の晩さん」がある。試合翌日、拓真さん、浩樹さんとLINEで連絡を取り合って、近くのコンビニに集合して食べるカップ麺だ。「コンビニに常備してあるポットからお湯を注いで、店の前に座り込んで高校生みたいに食べる」のだという。世界のイノウエになってもおごらず、庶民的。ボクシングファンのみならず多くの国民を引きつけるゆえんは、きっとその辺にあるのだろう。(輝)