もの忘れがいよいよ多くなってきた。書棚に同じ本が何冊かあることを以前にこの欄で白状したことがある。症状はさらに進んでいる。
執筆者名や書名を覚えておらず背表紙だけを見て、つい同じ本を買ってしまうのだが、以前なら読み始めて間もなく「この本は、読んだことがある」と気付き、笑って済ませていた。最近、読んだことをまったく覚えていない本に複数出合った。
仕事を離れてからゆっくりと読もう、死ぬ前にもう一度読もう―と「積ん読」を決めた本が何冊かある。それ以外の本でまったく目を通さないものはないはずだ。しかし、どこまで読み進んでも、何一つ内容を思い出さない。出版の年月日を調べるとどうやら6~7年前に、記憶の濃淡を区切る一本の線がありそうだ。それ以前のものは、数十年前のものでも内容のあちこちを覚えていて確認が可能なのだ。同じ本を何度も新鮮に笑ったり怒ったりしながら読めるなら実に経済的―と開き直ろうと思ったが落ち着かない。脳内の整理具合をあれこれ考えたものの記憶力以外に原因はない。
専門家が、テレビで新型コロナウイルス禍の高齢者への悪影響を話していた。自粛生活による外出の減少、筋力の急激な低下、そして認知機能の衰え―。感染者数が国内で10万人、道内も3000人を超えた。道内では札幌以外での感染が目立つようになってきた。マスク装着や手指消毒以外にも注意すべきことは多い。警戒したい。(水)