白老ふるさと昔話制作事業実行委員会(高山長基実行委員長)は23日、白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)体験交流ホールでふるさと昔話上映会を開いた。同町町制施行70周年を記念する今年最後の冠事業で、町、アイヌ民族文化財団が共催した。町内や近郊から家族連れなど約280人が来場し、同事業の一環で制作されたアイヌ民族ゆかりの物語のアニメに見入った。
上映されたのは、同実行委が制作し、9月にBS―TBSのアニメ番組「むかしばなしの部屋~伝えたい日本昔話」で全国放送された3作品。白老ゆかりの医師、故高橋房次氏が白老の古老から聞き書きした「ふんべ山」、平取町に伝わる民話から書き起こされた「きつねのチャランケ」、白老ゆかりの歌人、故森竹竹市氏の遺稿が原典の「金の声 銀の声」で、732センチ×411センチのスクリーンに投影した。アニメの語りを務めた女優の夏木マリさん(72)の特別メッセージも上映した。
この後、白老に何度か足を運んだことがあるというタレント上杉周大さん(42)が登場。代表曲のプロ野球日本ハム応援歌「ファイターズ讃歌」などを披露し、会場を盛り上げた。
アニメ制作を手掛けた一般社団法人むかしばなし協会(東京)のプロデューサー木下絢美さん(40)は「昔話は、地域の人々の思いが詰まった古里の宝物」と制作意義を強調。同協会所属の小林三男さん(79)も「大きなスクリーンで皆さんに見てもらえて光栄」と喜んだ。
親子3人でアニメを鑑賞した登別青葉小学校2年の遠藤晴生君(8)は「絵がきれいだった」とにっこり。3世代7人で訪れた白老小学校3年の森山陽輝君(9)は「昔のアイヌの人たちの考えが分かった」と話した。
高山実行委員長(40)は「多くの方に喜んでもらえた」と振り返り、大塩英男町長は「先人が紡いだ歴史や物語を若者に引き継ぐことは私たちの大切な役割の一つ」と語った。
ウポポイでは「今後も町や町民と一緒にできるアイヌ文化の発信があれば」(広報担当者)とし、3作品を26日から来年3月30日まで、体験交流ホールで午後0時半から上映する。