苫小牧駒沢大野球部の伊藤大海(4年)=渡島管内鹿部町出身=が27日、同校を訪れたプロ野球北海道日本ハムファイターズからドラフト1位指名のあいさつを受け、夢のプロ入りに向けまた一歩近づいた。同球団の栗山英樹監督が直筆で「共に天下を!」と記したドラフト会議場通行許可証を胸に提げて会見にも臨んだ伊藤は「いよいよプロ野球の世界に踏み込んでいくんだな」と高まる気持ちを表現した。
同部の大滝敏之監督、渡邊和弘部長、岡田路明副部長も同席した15分ほどの指名あいさつでは、日本ハムの大渕隆スカウト部長から野球への真摯(しんし)な姿勢をたたえられていた。2018、19年に大学日本代表に選出された際、チーム一員としての行動中に「周りの雰囲気に流されることなく黙々とやっていた」(部長)姿は、スカウト陣の目にしっかり留まっていた。伊藤は「そこを見てもらえたのはうれしい。自分で考えて行動できるのが自分の良さだと思っている」と語った。
26日のドラフト会議と同様に、苫駒大の大講堂で行われた会見では同日のドラフト1位指名決定後に無料通信アプリ「LINE(ライン)」などで1000件以上の祝福メッセージをもらったことを明かした。大学日本代表時代のチームメートで1年先にプロ入りを果たした森下暢仁(広島東洋カープ)、津森宥紀(福岡ソフトバンクホークス)からは「待ってたよ」とうれしい言葉をもらった。
契約条件などプロ入りに向けた具体的な話はこれからだが、伊藤は「学生野球と違ってプロは1年通して戦い続ける体が必要になる。基礎的なところからもう一度掘り下げて考えていきたい」と夢舞台に向けて着実に準備を進めていく構えだ。
「実力通りに指名した」
日ハムスカウト陣 高く評価
苫小牧駒沢大を訪ねた日本ハムの大渕スカウト部長と白井康勝担当スカウトが27日、同校で記者団にドラフト1位指名した伊藤の魅力を語った。
大渕スカウト部長は球速150キロ中盤の力強い直球に加え、多彩な変化球を操れる技術はもちろん「自分で課題を見つけて解決し、次のステージに進んでいくなど目に見えない部分も素晴らしい」と話す。
球団初の道内出身ドラフト1位選手になったことについては、「地元の選手だから評価したということではない。あくまでも実力通りに指名した結果」と伊藤への期待値の高さを表現した。
1990年代に日本ハムをはじめプロ3球団で投手として活躍した白井担当スカウトは、伊藤を駒大苫小牧高時代から追い掛けてきた。「状態が良くないときでも試合をしっかりつくることができる。大学生になって投げるボールすべてがレベルアップしたし、マウンドでの立ち姿も堂々」と言う。1位指名を受けても真摯な姿勢を貫く右腕に感心し、「人間的にも立派。頑張ってほしい」とエールを送った。