19日朝、石川県加賀市の複合商業施設にツキノワグマ1頭が現れて建物に侵入し来店者や従業員が駐車場に避難した。まさかと思った。
侵入したクマは午後9時すぎに猟友会によって射殺された。石川県では今年、クマの出没情報が相次ぎ、10年ぶりに警戒情報が発令されていた。県内では16日から3日間で8人がけが。18日には長野県内でも高齢者が自宅の近くで襲われている。
羽根田治著「人を襲うクマ 遭遇事例とその生態」(山と渓谷社)によると本州と四国に生息、九州ではほぼ絶滅したとみられているのがツキノワグマ。一般的には成獣の雄で体重60~100キロ、雌で40~60キロの大きさ。北海道のヒグマの雄200キロ、雌100キロに比べれば小さく、襲われた場合の人の致死率もヒグマの約30%に比べ、ツキノワグマは数%と低い。凶暴性は低いと思われがちだが、そうは言えない。上半身に深い傷を負わせることが多いそうだ。
ドングリの不作などが市街地進出の原因とみられるが、高齢化など、人間の側の変化も要因になっているようだ。耕地や果樹の放置が増え、家の近くまで雑木林や背の高い雑草地が迫ってクマを呼び寄せる。用心棒の犬の餌はクマの餌にもなる。
今年は日胆地区でもヒグマの出没情報が多い。札幌など各地で雑草処理などの対策が広がっている。冬眠を前にヒグマの腹ごしらえも大詰め。クマは近くで人間を観察している。「まさか」の油断が事故を招く。(水)