(19) 市内観光施設 客足回復 「Go To」も追い風

  • 変わる日常 コロナ新時代, 特集
  • 2020年10月19日
利用客が戻ってきた海の駅ぷらっとみなと市場。コロナ対策を徹底しながら誘客

  苫小牧市内の観光施設が新型コロナウイルス禍の打撃から立ち直りつつある。道の駅ウトナイ湖(植苗)、海の駅ぷらっとみなと市場(港町)の各施設は、地元客の下支えと観光客の回帰で、前年と比べて1~2割減まで回復。政府の観光支援事業「Go Toトラベル」キャンペーンなども追い風になり、コロナ対策をさらに徹底しながら利用アップを図っている。

   道の駅は今年度上半期(4~9月)、入館者数は約30万8000人で、前年同期比約4割(約21万1000人)減。国が緊急事態宣言を出した4月は同6割減、5月は臨時休館もあって同8割減が響いた。6月以降は徐々に利用が回復し、7、8月は2割強の減、9月は1割強の減まで利用が戻った。

   西村宏基駅長は「ゴールデンウイークやお盆は観光客がほぼ来なかったが、9月の4連休から『近場で何かをしよう』というニーズが増えた」と分析。インバウンド(訪日外国人旅行者)はほぼゼロが続くが、市のプレミアム付き商品券発行による「特需」もあった。10月からは「Go Toトラベル」の地域共通クーポンの取り扱いも始まり、「さらに観光客に動きが出そう」と期待する。

   一方で往来の活発化がコロナの拡大を招く事態も警戒。4人テーブルは対角線の2人座りを基本とするなど「密」の回避を心掛け、野菜の多くは個包装とするなどコロナ対策を徹底。非接触型検温装置の導入も検討しており、「ここで緩めて感染を広げるわけにはいかない」と力を込める。

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   海の駅は休館こそなかったが、利用状況の波はほぼ同様の傾向だ。「ぷらっと食堂」は4~6月、前年同期比約8割減の厳しい状況だったが、7月以降は徐々に客足が戻った。プレミアム付き商品券、地域共通クーポンも取り扱い、上原正大店長は「9月からは一気にお客が戻っている」と笑顔を見せる。

   座席の対面利用を極力避けてもらい、団体利用は昼のピーク時を外すなど、「密」回避に力を入れつつも集客アップを模索。コロナの再拡大に備えてテークアウトのオリジナル商品開発も進めており、「感染がひとたび広がれば営業できなくなる。緊張感を持って取り組んでいる」と話す。

   鮮魚店の山本水産も春先は同3割以上、売り上げが落ち込んだというが、山本英行会長は「地元客の戻りは早かった。最近は札幌から来る方が多い」と説明。鮮魚に対面するにもマスクを着用するなど、「コロナ前」は考えられなかった対応が続く日々にも、「完全に元通りになることはないのかもしれないが、コロナに合わせてできることをしていきたい」ときっぱり。コロナ時代に適応しながら生き残りを図る。    (金子勝俊)

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