(18) 行き先変更余儀なく 宿泊学習 校内に泊まり防災学ぶ

  • 変わる日常 コロナ新時代, 特集
  • 2020年10月12日
校区内の地図で津波の浸水想定区域を確認する児童たち=7日、苫小牧日新小学校

  新型コロナウイルス流行が、小学5年生の宿泊学習にも影響を与えている。苫小牧市内では宿泊先の受け入れ制限などに伴い、行き先の変更を余儀なくされたケースも。代わりに防災学習を取り入れ、校内に宿泊して防災知識を身に付けるなど趣向を凝らし、学びの場をつくっている。

   苫小牧美園小学校(手塚敏校長)は宿泊先を日高方面から北広島に変更した上、校内で防災学習の時間を確保した。コロナ禍で防災などの体験イベントが相次いで中止になる中、学校で防災について学ぶ場を設けた。

   7日の宿泊研修1日目は児童64人が防災講話に耳を傾け、段ボールベッド作りや避難所運営ゲーム「HUG(ハグ)」を体験した。

   このうちHUGではカードで避難者などの情報が次々と与えられる中、児童は5~6人ずつのグループに分かれ、「赤ちゃんがいる世帯同士は一緒にいれば気が楽」などと意見を出し合った。鍛治琴乃さん(11)は「しっかり防災の知識を学んだから、旅行中に災害があっても大丈夫そう」と話した。

   工藤倫主幹教諭(50)は「学校で防災用品に触れる機会もなかなかない」と説明。自分の命を自分で守る自助の大切さに理解を深めるため「今後も取り入れられるか検討したい」と述べた。

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   苫小牧日新小学校(瀬川恵校長)も7日、行き先を登別から洞爺湖町に変更し、宿泊場所は学校とした。日中は有珠山の噴火について学習し、夕方から図上訓練「DIG(ディグ)」を実施。DIGでは児童が3~4人ずつの班になり、校区の地図を見ながら防災上の課題を話し合った。

   この模様はオンライン会議システム「ズーム」を通して、希望する保護者たちに配信した。今年はコロナ禍で授業参観の機会がなかったため、学校で過ごす児童の様子を伝えようと配慮。リアルタイムで映像を流すと、保護者たち約30人が食い入るように視聴したという。

   この日は市が備蓄する防災用の折り畳み式ベッドを、体育館やプレイルームに一定間隔を空けて並べて就寝。今年は宿泊を伴わない行事とする選択肢もあったが、子どもたちの仲間意識醸成、通常の授業では得られない経験を大事にしながら防災漬けの日とした。

   前手康佑君(10)は「他の年の宿泊学習と比べると、初のことだらけでうれしい。みんなでいれば行き先は関係ない」と笑顔。今野瑠璃さん(11)も「避難場所などについて学べた」と満足しつつ「来年の修学旅行は(例年通り)函館に行きたい」と語った。 

  (高野玲央奈)

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