苫小牧高専サッカー部が今年、躍進の1シーズンを過ごした。第57回全国高専体育大会兼第60回全国高専選手権大会(9月、函館市)に道代表として出場して初の決勝進出を果たし、呉高専に0―3で及ばなかったものの準優勝と大健闘した。7月にあった大会の道予選では前人未踏の11連覇を達成しており、自身同部出身でチームを率いた教員の長尾昌紀監督は全国ステージでの快進撃を「どの試合も状況は厳しかったが、逆境を跳ね返し続けることができた」と振り返る。
各地の代表16チームによるトーナメントの全国高専大会では、1回戦2―2(PK4―2)大分=九州・沖縄=、2回戦2―1徳山=中国A=、続く準決勝3―3(PK3―2)新居浜=四国=を下す3連勝。すべてで先制点を許した後、PK2試合を含めての逆転勝利となった。呉=中国B=との頂上対決は前半にセットプレーから失点し、後半も攻勢をかけた際の隙を突かれたカウンターで2点を失った。
道予選では破竹の11年連続優勝し、2年前に香川県で開かれた大会ではベスト4入りで過去最高の3位。破れはしたが、激闘をかいくぐってその到達点を越えたメンバーに充実感が漂った。全国大会は本道開催とあって、「たくさんの保護者やOB、関係者の方が応援に来てくれた。このホームの空気感があって、(決勝に届くまで)勝たせてくれた」と関監督は振り返る。
登録メンバー19人。うち8人を占めたのが5年生で、4年生はおらず、残る12人は3~1年生という構成だった。「自分たちの攻撃の特長がよく出た。得点されても追い付けるという雰囲気があったと思う」と主将を務めたMFの寺田快は振り返る。後輩たちに「道内高専の予選もレベルが上がっている。フィジカルの強度を、今年の全国大会の経験を基準にして高めていってほしい」と期待する。
長尾監督は「全試合で先制点を奪われる非常に苦しい展開だった」としながらも、「常に試合をひっくり返し続けた選手のしぶとさにはただただ驚かされた」と語った。特定の個が活躍してチームをけん引する以上に、全体の総合力が連続の逆転劇を生んだ「全員サッカー」のたまものとし、「5年生が後輩の能力を引き出していったことが準優勝につながった」と総括した。
来年度メンバーは大きく入れ替わるが、進級して本道高専の雄の伝統を引き継ぐ下級生へ向けて、長尾監督は「自分自身に目を向けて、サッカーの基本技量を高めてもらいたい」と期待を込めた。
-苫高専登録メンバー
背番号 位置 学 年
1 GK 小幡歩武 2
2 DF 伊東風汰 3
3 DF 須坂郁哉 5
4 MF 鈴木優志 2
5 DF 竹内透哉 5
6 MF 寺田快 5
7 MF 橋本奏汰 1
8 MF 平田柊人 2
9 FW 和知悠人 2
10 FW 秋葉一瑳 5
11 FW 後藤遼樹 3
12 DF 竹谷智敬 1
13 MF 葛西颯大 5
14 MF 川村友羽輝 5
15 MF 吉田圭梧 1
16 FW 曽我部拓摩 1
17 GK 早坂頼人 3
18 DF 阿部真偉琉 3
19 DF クレイン大和3