新型コロナウイルスの流行で、密を避けるアウトドア体験に人気が集まった今年、千歳市の支笏湖地域もカヌーなど水のレジャーを楽しむ大勢の人でにぎわった。一方で、利用者の混雑や禁止された場所でのテント設営など、多くの課題も浮上した。地元関係者は、支笏湖温泉地域と山線鉄橋に近い千歳川周辺を対象に「水面利用に関するローカルルール」を設けているが、知らなかったり、守らなかったりする人も多い。来年のシーズンに向け一層の周知と安全策の在り方を検討している。
今年の支笏湖では、カヌー、カヤック、スタンドアップパドルボート(SUP)を楽しむ際にライフジャケットを着用しない人が見られた。また民間事業者が設けた桟橋付近での水遊びや、立ち入り禁止の危険な場所に入ったり、狭い区域で利用が集中し利用者同士の争いになりかけたりしたケースもあった。地元関係者は「経験が少なく、水面でのマナーを知らない人もいて、事故になりかねない事例が発生している」と指摘する。
環境省は7月末に、山線鉄橋に近い第5駐車場の出廷場所に利用案内板を設置し、混雑予想を記載した。現在、駐車場の整備計画も策定中で、敷地の新たな活用方法や、出艇場所と親水空間を明確に分けることで利用者の危険を減らすことも検討する。
同省支笏洞爺国立公園管理事務所の塚本康太国立公園管理官は「多くの人に自然を長く楽しんでもらうため、適正利用に向けた手法をエコツアー業者も含めみんなで考えていきたい」としている。
支笏湖温泉街周辺水面利用に関するローカルルール
国立公園支笏湖運営協議会が地域住民や関係機関と共に19年度に策定した。環境保全や事故防止が目的。▽ライフジャケットを必ず着用する▽ごみは各自持ち帰る▽テント、テーブル・イス、火器は使用しない▽千歳川水門には近づかない―など。駐車場で啓発パンフレットを配布している。