支笏湖温泉地域で10年間カヌーを中心としたアウトドア体験プログラムを提供する支笏ガイドハウス「かのあ」の松澤直紀代表(34)に、レジャー客のルール違反の現状や課題について聞いた。
―新型コロナウイルスの感染拡大で「3密」を避けられるアウトドアレジャーに注目が集まっている。同地域を訪れる観光客に変化はあるか。
外出自粛期間の後、多くの観光客が訪れた。今年は圧倒的に水辺を利用する人が多い。駐車場でカヌーなどを組み立てている人をよく見掛けた。自粛期間が長引き、外出したい人が多かったのか、これまでアウトドア経験のなかった人がレジャーを始めている傾向がみられ、それに伴い問題も起きている。
―具体的には。
カヌーなどで水辺に出るときにライフジャケットを着用しない、決められた出艇場所を守らないなど事故になりかねない問題や、禁止事項違反、ごみ問題など。ゴールデンウィーク前後にはレジャー客がカヌーで転覆し、流れ着いたこともあった。水温が5度前後だったので、死亡事故につながってもおかしくなかった。国立公園の管理下で動植物の持ち出しは禁止なのに、エビを捕りに来るなど常識のない人も多い。人の手が加わることで生態系の崩れが懸念される。
―支笏湖ではライフジャケットの着用など水面利用に関する取り決めがある。
ルールを知る人は少ない。コロナ前に策定したが、コロナ禍で事情が変わった。今後、ルールを増やす必要があるのかなと思う。
―解決策は。
ルール違反が増えているのは、私たちも含め運営側がきちんと管理できていない証拠。アウトドアレジャーを始める人の増加はうれしいことなので、ルールを知ってもらい順守を呼び掛けたい。さらには、ルールで縛るだけではなく、初心者向けにアウトドアスクールを行ったり、支笏湖を守るための環境教育をし、前向きに自分たちができることをしていきたい。