来春の高校卒業予定者を対象とする企業の採用試験は今年、例年に比べて1カ月後ろ倒しの10月16日開始となる。新型コロナウイルスの感染拡大により、休校期間があったり、試験を受ける生徒が不安を抱えたりしないよう国や経済団体などが協議して決めた。高校から企業に提出する応募書類の受け付け開始も1カ月先延ばしの10月5日となる。
企業の高校への求人申し込みは例年通り7月1日解禁され、試験を受ける生徒の準備期間だけは確保された。ただ、休校が続いたため、校内で十分な進路指導ができたかは別。半月後に迫る採用試験で猛勉強や模擬面接の練習に打ち込む生徒の姿が目に浮かぶ。
新卒者の採用後に例年、問題視されるのが離職率の高さだ。道内で毎年約7000人が就職するが、1年以内の離職が20%超。これは全国平均より5ポイントも高い。採用後すぐに辞められては企業の負担も大きく、企業が中途採用に向かうきっかけにもなっている。
道労働局によると、新規高卒者向けの求人が提出されるのは全国に比べ、道内は例年遅めという。中小企業は景気の先々がなかなか見通せないためで、特に今年はコロナの影響もあり、求人数の減少も懸念される。生徒の進路選択の機会を広げるため、そして離職者を減らすために、採用計画のある企業は早期に求人票を提出し、高校のしっかりとした進路指導が求められている。(教)