苫小牧市の地域経済対策、プレミアム(割り増し)付き商品券の発行では、市民からの申請冊数が発行予定冊数を大きく上回り、大変な人気になった。
同様の商品券は他のまちも発行している。愛知県蒲郡市では5000円券で1万円分の買い物ができる。お得感は大きいが、券を買える人は抽選で選んだので外れた人に恩恵はなかった。佐賀県武雄市では1万円券の割増額が2500円分。初日は市内4カ所、その後は1カ所で売った。煩わしい手続きはないが、初日は販売開始2時間前から売り場に人が並び、買えなかった人もいた。その点、苫小牧市では買える冊数こそ調整されたが、購入時の不公平感や負担感は少なかったのでは。
苫小牧では、過去にもこの手の商品券が発行された。2015年は商工会議所などの組織がほぼ全世帯を、19年は市が住民税非課税世帯などを対象に発行し、申請件数はそれぞれ約24%、約34%。今回は約42%だったので商品券への理解は確実に広がっている。
それだけに購入申請をしなかった人が気になった。要らなかったならいいが、券を使える店が分からなかった、視力や体調が悪く書類の記入や郵送で挫折した、購入資金のめどが立たなかった、という人はいなかっただろうか。感染症の流行による経済や情報の格差が進んでいるだけに、申請しなかった半数以上の人についても考える必要性を感じている。(林)