部活動

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2020年9月24日

  幼い頃は絵本を読み、気に入った物語をそらんじてみせためいは、もう中学1年生。進学前後のコロナ禍で学校の授業日程は遅々としていたが、最近、バレーボール部に入ったと聞く。

   小職の履歴を振り返れば、中学に続けて高校と剣道部員だった。雪のない季節は自転車通学し、初秋なら練習終了後、山並みの背後に沈む夕日を見つつ帰途に就いた。18歳になる卒業年度の主要な大会で好結果は残せず、客観的には「斬られ役」の主将で終わってしまったものの、先輩や同期、わが代の退勢から失地回復を果たした後輩、教えを受けた師範や顧問の顔を時折思い返すことがある。

   息が弾む稽古。竹刀がはじける音がよく響く道場は夏に蒸し風呂、冬には冷蔵庫と化した。試合前後の緊張や高揚感、戦い最中の無我。ライバルと目した他校生徒の容貌(ようぼう)が脳裏によみがえる。柔道部と「合同トレーニング」と称して毎週1度は行ったソフトボール対抗戦も懐かしい。

   「人形浄瑠璃部」という実在部活を小説で知り、驚き気味に興味を持った。本紙連載の「うずしお高校浄瑠璃部」(ドリアン助川・作、茂苅恵・画)は50代の主人公が青春期を過ごした淡路島を訪れて物語が始まる。今は生徒当時の回想場面が続き、放課後に感じたほろ苦さやときめきを運動部体験しかない元高校生にもじんじんと想起させる。読書の秋。毎回を心待ちにする一人になった。(谷)

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