道端でキバナコスモスが揺れている。気が付けば秋の彼岸が近づいているというのに、暑い。札幌は真夏日が数日続き、夜もあまり気温が下がらない。晩夏と初秋がせめぎ合っている。
最近、周囲の若者や記者仲間から進むべき道や仕事のことで、相談されることが多い。「あまり思い詰めず、自分の進みたい道を自由に進んでみては…」。そんなことぐらいしか言えず、これで良かったのだろうかと自問している。
ジャーナリストの池上彰さんは、小学5年生の時に担任の先生から「将来どんな仕事に就きたいのか」と聞かれ、答えられなかったそうだ。ところが、6年生のある日、書店で新聞記者の仕事についてのドキュメントの本に出合い、自分の人生を決めたという。
そんな池上さんが監修し、今年1月に出版された本がある。タイトルは「なぜ僕らは働くのか」(学研プラス)。中高生向けに将来の働き方について考えてもらおうと企画し、丁寧に編集された労作。漫画やイラストも多く使用し、「君が幸せになるために考えてほしい大切なこと」を訴えている。
池上さんらは「不安にならなくても大丈夫だよ…。きっと自分の仕事が見つかるさ」と語り掛けながら完成させたという。これから社会に出る若者たちのほか、自分らしく働きたい大人たちにも羅針盤になりそうな本だ。今度、若者から相談を受けたら、この本を贈りたい。そう考えている。(広)