山頂に沈む太陽 22日は秋分の日

  • 支笏湖日記, 特集
  • 2020年9月11日
恵庭岳の日の入り

  季節の移ろいは早いものです。北海道の短い夏が過ぎ、支笏湖畔の木々も少しずつ色づき始めています。夕暮れもずいぶんと早くなり、秋の始まりを実感するようになりました。

   それもそのはず、今月の22日は秋分の日です。秋分の日は春分の日とともに「昼と夜の長さがほぼ等しい」とされています。でも実は昼の時間の方が少しだけ長いことを知っていましたか? 国立天文台が公表している日の出・日の入り時刻を検索してみると、支笏湖から近い札幌の秋分の日の日の出時刻は午前5時22分、日の入りは午後5時32分となっています。太陽が見えている時間は12時間10分ということになります。なぜ12時間ではないのでしょうか。

   調べてみると、一つは日の出・日の入り時刻の定義にありました。「太陽の上辺が地平線と一致する瞬間」となっています。太陽の中心ではなく上辺が一致する瞬間ということは、日の出は地平線から太陽が顔を見せた瞬間で、日の入りは完全に沈んだ瞬間だということです。ここで太陽一個分が移動する時間だけ昼の時間が長くなります。また、もう一つ要因は、地平線近くの太陽は大気の屈折で浮き上がって見えるという現象も考慮していることにあります。こうした幾つかの要因が重なり秋分の日であっても少しだけ太陽の見えている時間は長くなるとされています。

   また秋分の日はほぼ真西に太陽が沈みます。支笏湖温泉街とポロピナイを結ぶ国道453号から恵庭岳の山頂に沈む太陽を見ることができます。恵庭岳はアイヌ語で「エ・エン・イワ」頭のとがった岩山という意味です。とがった山頂越しに沈む太陽は神々しさを感じます。撮影ポイントを探して自分だけのとっておきの1枚を写真に収めてみてはいかがですか?

   ちなみに、国立天文台が公表している時刻は近くにある山や建物は考慮していません。恵庭岳の標高は1320メートルなので、公表されている時刻よりかなり早く太陽が山に隠れてしまいますのでご注意を。

  (自然公園財団支笏湖支部所長 木林正彦)

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