地元買い物運動

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  • 2020年9月10日

  景気の先行きが怪しい。内閣府が8日に発表した2020年4―6月期の国内総生産(GDP)の改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比7・9%減、この状態が1年間続いた場合の年率換算では28・1%減となった。8月に発表された速報値から0・3ポイントの下方修正で、戦後最悪の数字という。その傾向はグラフ化すると分かりやすく、20年1―3月期から同4―6月期はほぼ垂直落下。新型コロナウイルスがもたらした影響は大きく、経済学者らは報道番組などで「今後の国内経済は深刻な状況に陥るだろう」と異口同音の予測を立てている。

   その先行きを見通すかのように、大手と名の付く企業を中心とした早期退職者募集の動きは広がっている。民間信用調査会社の東京商工リサーチの発表によると、8月14日時点で上場企業52社がこの動きを進めている。中には1000人規模の人員削減目標を掲げているケースも。同社ホームページの最新記事欄には「コロナ破たん」の見出しがいくつも躍り、国内経済の落ち込むスピードは緩やかに加速している印象だ。

   地元に目を向ければ、コロナ禍の中でも地域を盛り上げようと多くの事業者が奮闘している。この地に根を張り、にぎわいを守ろうとしている人たちだ。彼らを支えられるのは、私たち消費者が地元で買い物をすること。回り回れば人同士の縁にもつながる「地元買い物運動」を提唱したい。 (隆)

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