―胆振東部地震発生から2年を迎えた今の復旧状況をどう受け止めているか。
「仮設住宅は入居期限が10月末と11月末に分かれているが、町内3地区で建てている地域優良賃貸住宅3棟6戸が今月末に完成すれば仮設住宅暮らしはすべて解消される見通し。ペットと同居可能な住宅についても、町営住宅や道から無償譲渡を受けた職員住宅などを活用して10月には移り住んでもらうことができる。すでに住宅を新築した方、中古物件を改修している方、自宅を直している方も含め、ほぼ新しい生活場所が決まった。金銭的な支援もしていくので、原則2年の仮設住宅の入居期限内に皆さん再出発できるのでは。特別養護老人ホーム「追分陽光苑」についても新型コロナウイルス感染拡大の影響で資材調達などが心配されたが、11月末には完成。年内には引っ越しできる予定だ」
―心掛けてきたことは。
「復旧工事に合わせ、災害に強いまちづくりをしなければならないということを意識して各種事業を進めてきた。町で発注した公共土木工事は今年度いっぱいでほぼ完了する。今後は防災倉庫の整備や避難所になる公民館の非常用電源対策などを進める。防災支援施設として早来町民センターの大ホールも体育館に改修。合宿所の機能も取り入れて整備していきたい」
―早来小、中学校の一体型校舎整備の進捗(しんちょく)状況は。
「今年度で実施設計が終わり、2022年度に新校舎が完成、3学期から利用できるようにしたい。国も町内全域への光回線敷設を目指した支援を用意。教育格差の解消、自宅でのネット環境も整う。(国が掲げる)『GIGAスクール構想』に間に合うよう整備できると思う」
「小中一貫教育やコミュニティースクールを導入する安平町は、教育を柱にした移住定住を掲げている。ただ校舎を建てるだけではなく、50年たっても遜色ない地域に開かれた教育を展開していきたい。いろんな意見、協力を頂いた皆さんへの感謝の思いを形にしていけたらと考えている。初めてのチャレンジとして、企業版ふるさと納税による学校建設の応援も呼び掛けている」
―震災後、新たなコミュニティーが生まれている。
「地域おこし協力隊や新たな活力を見いだす動きがあり、(エリア放送の)あびらチャンネルを通じて情報を発信している。あびらチャンネルの業務は一部を事業者に委託するなどすべて町職員の手作りではなく、外部の業者と地域おこし協力隊、町職員がうまく融合した形で取り組んでいる。積み上げ、人が代わっても変わらない体制づくりを意識していく」
―震災の記憶や記録を伝承する取り組みは。
「震災直後から、当時の会議の様子や被災現場の空撮などをあびらチャンネルで放送するなどしてきた映像の蓄積がある。20年、30年、50年後に冊子や写真だけではなく、映像として残していけたら強みになるのではないか」