胆振東部地震から2年を迎えた6日、土砂崩れで19人が犠牲となった厚真町吉野地区に設置された献花台前では、亡くなった方の家族や知人、町職員らが花を手向けて鎮魂の祈りをささげた。
小さな町を襲った震度7の揺れで起きた大規模な土砂崩れにより、壊滅的な被害を受けた同地区。親戚の中田美江さんを亡くした同町新町に住む中田充子さん(72)は「笑顔がすてきでみんなから愛される人柄だった。まだ気持ちの整理がつかず、あの日のことは思い出したくもない」と目を潤ませた。
叔母の滝本芳子さんなど親戚3人を失った札幌市の男性(69)は「震災1カ月前に会ったばかりだったので驚きが強かった。この地に来ると鮮明に思い出がよみがえる」と話した。
浜厚真に住む山田稔さん(85)は2年前の震災で友人が被害に遭った。「平和で静かな環境が一瞬で失われた。厚真の未来を語り合ったあの時間は忘れられない」と話し、豊丘に住む今野昭男さん(77)は「つらいの一言」と言葉を詰まらせた。
福島県に実家があり、厚真町に友人がいるという札幌市の安倍隆さん(57)、恵子さん(57)夫妻は「実家は東日本大震災の時にたくさん支援を受けた。私たちも厚真町のお米や野菜をたくさん食べて応援したい」と述べた。
また、震災直後に同町でボランティア活動をしたという札幌市の佐々木裕一さん(55)は「復旧が進むにつれて災害の記憶は風化していく。2年前に起きたことを決して忘れてはいけない」と語気を強めた。