近年、勇払原野でも定期的に観察されるようになってきたタンチョウですが、明治期には一時絶滅したと考えられていました。
1924(大正13)年に釧路で数十羽が再発見されて以降、保護活動によって個体が増え、生息域も道東各地に広がりました。そして現在、個体数は1800羽ほどまで回復し、道北や道央にも少しずつ分布を広げています。
道央方面に注目してみると、2012年には、むかわ町を中心として1つがいが道央で初めて子育てを開始し、毎年継続して繁殖しています。そして勇払原野でも、13年から別の個体が毎年観察されています。
きっと今、新しいすみかを探しているところなのでしょう。タンチョウは道東の鳥というイメージがありますが、道央、そして勇払原野はいま、タンチョウの分布拡大の最前線になっています。
これから先、道央各地でもタンチョウの数が増え、頻繁に見られるようになります。人の生活圏に近い湿地などで子育てをしますので、交通事故なども心配です。タンチョウが安心して暮らすために、皆さまのご理解やご協力も必要になってきます。
皆さまがタンチョウを発見されたときには、次のようなことにご注意いただきながら、優しく見守っていただければと思います。
(1)車から降りず、離れたところから見守る。
=驚いて逃げるときに事故が起こりやすいです。
(2)撮影時、カメラのフラッシュを使用しない。
=まぶしくて驚きます。
(3)餌を与えない。
=人との距離が近くなり、事故に遭う危険性も高まります。
(4)ごみを捨てない。
=当然のことですが、タンチョウが食べて病気になることもあります。
(5)私有地に入らない。
=タンチョウは自由ですが、人は不法侵入になります。
(6)地域の方の生活の妨げにならないようにする。
=生活道路での路上駐車や騒音は困ります。
(7)田畑の道には入らない。
=防疫のためにも立ち入らないでください。
(日本野鳥の会保全プロジェクト推進室保護区グループ・瀧本宏昭レンジャー)