2018年9月に発生した胆振東部地震で震度7を観測した厚真町。復旧工事が進む一方で、完全に元通りになるまでにはさらに3年ほどの月日がかかる見通し。特に甚大な被害となった厚真ダムや日高幌内川などでは、2年が経過した今でも震災の爪痕が深く残っているのが明らかに見て取れた。(胆振東部支局 石川鉄也)
北海道開発局が1日、厚真町内で国が所管する被災箇所を報道機関に公開し、復旧の進捗(しんちょく)状況を説明した。震災から間もなく2年を迎えることから、被災した国所管施設の復旧状況を明らかにしようと北海道開発局が行った。昨年9月以来の説明会で、バスで約3時間半ほどかけて3カ所を見学した。
このうち町市街地からバスで30~40分ほど走った幌内地区の奥、山間部にある厚真ダムは震災前、農業用水を給水していた。現状は停止状態が続く。地震に伴う周辺ののり面の斜面崩壊により、施設内には大量の土砂が流れ込み、現場はいまだ土砂や流木があちこちに散積している惨状だ。緊急工事を完了し、洪水吐きやのり面の復旧、土砂撤去などようやく本格的な工事に乗り出すところまでいったが、土砂や流木などの撤去だけでもあと2年ほど要するという。
また、主要農業用水路でもある厚幌導水路は、全長約29キロのうち計10キロで水路の接続部分が破損した。今後、内径2メートルの管を新たに敷設する工事を行い、来年度までに完了させる見込み。道開発局では「一日も早く復旧させ、農業者が安心して営農できるように努力していく」考えだ。
厚真ダムに比較的近い日高幌内川も震災による大規模な山の崩壊土砂が対岸にぶつかり、約1・1キロにわたって河道がふさがれた。越流侵食による洪水被害などの影響が下流の幌内地区、さらには市街地にも及ぶ恐れがあることから既に土砂は削り取られたが、現場には山肌がむき出しになった山崩れの跡地が残る。大型トラックの行き来も激しい。
これまで北海道開発局は備蓄ブロックを活用した砂防堰(せき)堤工、水路工の整備など応急的な措置を取ってきた。今後はコンクリートの堰堤整備や水路を拡大するなどして大規模な水害にも備えていく。