季節

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2020年8月26日

  先日の日曜日の朝、散歩に出掛けると道路脇や牧草地の縁に、紅色を帯びたススキの穂がずいぶん目立った。コロナ禍でも草たちは季節を律儀に刻む。

   新聞、テレビに「コロナ感染 緩やかに減少」のニュース。厚生労働省に助言する専門家組織の分析によると、ピークは7月末だった―とか。「重症者は増えており警戒が必要」とただし書き付きなのだが少しうれしい。手元の3年日記の最上段の欄には、2月27日の36・2度を初回に、毎日の体温が書かれている。体温測定にせよ外出時のマスク装着にせよ、三日坊主を、これほど変身させた新型コロナウイルスの威力に驚く。

   知人が目撃した個人病院の待合室の風景。高齢の女性が、距離を取るため×印の貼られた椅子に座ろうとした。近くの人が「そこ座れませんよ」と声を掛けると、耳が遠いのか大声で「なして?」。「どうぞ」と席を譲った人がいてそれ以上のやりとりにはならなかったそうだ。スーパーなどでも、レジ前の床の、立ち位置を示した貼り物を無視する人がいる。注意するか、その場を離れるか。用心と情報量の個人差が悩ましい。

   政府はワクチンを入手できた場合の接種順の検討を始めた。世界保健機関は、先進国のワクチン争奪戦の過熱に警鐘を鳴らす。感染者や家族への偏見や差別、中傷を防ぐ条例作りが各地で進む。学校ではいじめも問題。考えなければならないことの多い、秋。(水)

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