《2》 市独自で居住地発表 積極的な情報発信にかじ切る

  • 検証コロナ禍 感染公表編, 特集
  • 2020年8月25日
対策本部会議終了後も情報の確認などに追われる苫小牧市の幹部ら=2月22日午後5時半すぎ、市役所

 「胆振管内在住と言われているが、苫小牧市内で感染が確認された」―。2月22日午後6時から苫小牧市役所で開かれた記者会見で、岩倉博文市長はそう切り出した。市内で新型コロナウイルスの感染が初めて判明した瞬間だった。

 これに先立ち、道が胆振管内で初の感染者が出たことを公表していたが、自治体名を明かすことはなかった。市長は「患者の意思が前提」としつつ、感染者情報は「できるだけ明確にすべき」が持論。積極的な情報発信にかじを切った。

 ■    ■

 2月17日に道は情報の公表基準を見直し、居住地の公表を「振興局単位」としたばかりだった。14日に道内居住者初の感染を公表したが、国籍すら非公表として批判を浴びたためだが、この基準でさえ当初から揺れていた。渡島管内七飯町の町議が感染した事例は、19日に道が「渡島管内の60代男性」としていたが、翌日に道が同町の発表を後追いするように公表した。さらに独自の保健所を持っている札幌市は、すでに市の判断として居住地を公表していた。

 胆振管内で初の感染者判明、しかも2人確認されたのは、そんな中だった。市長は公務を切り上げて市役所に入り、22日午後4時半から全部署の市幹部と対策本部会議に臨んだ。感染者情報の扱いも焦点の一つだったが、市長がトップダウンで決断した。2人は道内9例目と15例目の感染者。コロナ感染が広がり始めた初期段階で、市長は「胆振のどこから出たのか、分からない方が市民は不安」と考えた。保健所を通して感染者本人の同意も得られ、市の判断として公表することになった。

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 会議後の会見は感染者情報に質疑が集中した。道が「10代、学生」とのみ公表していたためだ。仮に感染者が学校で不特定多数と接触していれば、感染が拡大する危険性は高くなる。市長は答えに一瞬だけ間を置いたが「高校生で最後の年(3年生)」と述べ、さらに「学校には幸い行っていなかったので校内感染は心配していない」と踏み込んで情報提供した。

 「10代、学生」との発表にとどまれば、市内の学校全般に不安が広がるのは必至。感染予防を呼び掛ける上でも居住地を苫小牧と明かさなければ、市民は人ごとのように受け止めたかもしれない。市の幹部の一人は「市長だから踏み込んで言えることもある」と政治家としての決断を理解する。

 一方、会見は一部報道機関がインターネット中継をしたこともあり、終了後から市に問い合わせが殺到した。「どこの学校なのか」「もっと情報がほしい」などと、感染者情報のさらなる開示を求める声が相次いだ。市はインターネット交流サイト(SNS)での誹謗(ひぼう)中傷や憶測、うわさの拡散を慎み、正しい理解と予防の徹底を呼び掛けたが、心ない個人特定の動きは続いた。憶測を暴走させないためにぎりぎりの範囲で行われた公表も、一部市民の要求はとどまることがなかった。

 (コロナ検証班)

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