責任と検証

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  • 2020年8月25日

  日が短くなった。札幌では日中、気温が30度近くまで上昇するが、夕暮れ時には涼風が吹くようになった。地下鉄の駅に向かう通勤途中、毎日見ていたヒマワリも少し小さくなったように映る。夏が終わろうとしている。

   長期戦になりつつある新型コロナウイルスとの戦い。その前線に立たされる全国の知事たち。鈴木直道知事も1月下旬以降、原則週1回行われる定例会見のほか、突発的に入る臨時会見も含め、内容はほぼコロナ一色。マスク姿で道民にメッセージを発信し続ける。

   道内では感染拡大の波が全国より先行。「第1波」(2月下旬~3月中旬)、そして「第2波」(4月中旬~5月下旬)と立て続けに見舞われた。政府に先駆けて全道小中学校の一斉休校、自治体独自の「緊急事態宣言」を打ち出し、「北海道モデル」として注目を集めた鈴木知事は、当時の心境を月刊誌「文芸春秋」(8月号)で打ち明けている。会見で「結果責任は私が負う」と言い切った知事だが、いずれも前例なき取り組み。国自体も政策が混迷し、北海道モデルの実態は、迷いと不安の連続だったことが分かる。

   道はこれまでの対応について有識者会議を設置し、検証を開始している。昨夜は知事も出席し、コロナ危機にどう向き合ってきたか、未知との戦いの難しさを語った。「必ずやって来る」とされる「第3波」に備え、39歳の若き知事の苦悩のかじ取りが続く。(広)

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