当紙の無料おくやみ欄の掲載では、故人の氏名や亡くなった日、年齢などを、電話を介して事前にご遺族に確認させていただいている。例えば氏に林の字があれば「木が二つの林ですね」という具合に一文字ずつ確かめており、担当者は毎日、こうしてまちの人の死に接している。
記者はその1人で、確認作業をしながら、故人が自分より若ければ、なぜこの若さで亡くなったのだろう、と口惜しくなる。同年代なら人ごととは思えず、複雑な気持ちになる。おそらく葬儀社のスタッフや、会葬礼状の印刷、遺影写真のプリント、供花の用意などで日々死に関わっている人たちも同じなのでは。
無料おくやみ欄に載せる故人1人の内容は、5行前後。0歳でも100歳以上でも、それぞれ年齢分の時を刻んだ人の旅立ちを、伝えて残す記録は重い。この仕事を通じ、自分がきょうこれから命を失ったり、あす余命宣告されたりすることは十分あり得るのだと日ごろから思うようになった。胆振東部地震で息を引き取った人が載ってからは、心の準備を何もできず、全然考えていなかった死に方をすることもあるのだ、とも。
命には限りがある。残された時間も、心身共に健康でしたいことが思うようにできる時間も、きのうよりきょう、きょうよりあした、減っていく。実感を伴って思うようになり、今を大切に過ごすよう自分なりに努めている。(林)