苫小牧のアブロス日新、沼ノ端両スイミングクラブに所属する選手たちがこのほど、江別市で開かれた第27回北海道ジュニア室内選手権水泳競技大会で好成績を挙げた。新型コロナウイルスによる相次ぐ公式戦中止や練習施設休館の苦境を乗り越え、約半年ぶりとなった公式レースで熊谷篤(泉野小6年)=日新=、野村遥希(青翔中1年)=沼ノ端=、高橋良汰(北海道栄高1年)=同=が中止になった全国級のJOC夏季大会基準と同等となる代替通信大会標準記録を突破した。
道ジュニア選手権には、この大会の厳しい参加標準記録を突破した全道各地のスイマーが出場。50メートルプールの長水路で男女の泳法、年齢、距離別に記録へ挑んだ。
アブロス日新の熊谷は50メートル自由形と同バタフライの2種目でJOC夏季標準記録を初めて突破した。自由形は躍動感を欠いた予選の泳ぎを反省し、「大きなフォームで泳ぐ」(熊谷)ことに集中した決勝で28秒14。全国標準を0秒27上回ったほか、小学生部門の1位も獲得した。続くバタフライ決勝では、速いテンポで水をかいたことが奏功して30秒35。全国標準よりも0秒23速かった。
昨年は、JOC夏季50メートル自由形の標準突破にわずか0秒13足りず悔しさを味わった。新型コロナのため、長くプールで練習ができない日々を送ったが、「今回は絶対に標準を切る」と並々ならぬ決意だった。「もっと強いキックができるようにしたい」とさらなる飛躍を誓う。
アブロス日新を率いる津谷敬太コーチは、熊谷以外にも「ほとんどの選手が自己ベストを出してくれた。新型コロナでまともに練習が積めない中、よく頑張った」とたたえる。コロナ禍は続き、今後の大会日程は不透明ではあるが、「常に自己ベストの更新ができるように努力してほしい」と期待する。
一方のアブロス沼ノ端は、昨年のJOC夏季大会4種目で標準記録を突破し初の全国に挑んでいた野村が奮起した。50メートル自由形の予選で26秒86をマークして全国標準を0秒45上回ると、100メートルバタフライでは「粘りの泳ぎができた」と1分2秒99で全国標準より1秒31も速かった。
新型コロナでプール施設が使用できない間は毎朝5時半に起床して平日3キロ、休日7キロのランニングをしながら体力維持。目標にしてきた全道、全国大会が次々と中止になり不安もあったが、「いつか必ず大会があると信じて練習した」と胸を張る。
今大会50メートル自由形でJOC夏季の標準記録を突破した高橋ら、各年代で全国クラスの実力者がそろうアブロス沼ノ端だが、大江俊彰コーチは「6月からたった2カ月の練習でいきなり長水路の大会。レースの間隔もタイトで、苦戦している選手は多かった」と総括する。新型コロナの影響はしばらく続くとみており、「本来は来年春のJOC大会に向かっていくところだが、今から来年夏のJOCを見据えて鍛えさせたい」と語った。