苫小牧市内の町内会や老人クラブによる高齢者の見守り活動が、新型コロナウイルス流行の影響を受けている。市内各地で定期的に開かれてきた「ふれあいサロン」の多くは密集を避けるため休止し、高齢者宅を訪問する安否確認活動も自粛傾向だ。関係者はコロナの感染リスクを軽減させながら、高齢者が孤立しないような地域活動を模索している。
見守り活動は住民らが地域の高齢者に注意を払い、必要な支援につなげる取り組み。市内ではこの活動の一環として、町内会や老人クラブなどがふれあいサロンを開いてきたほか、見守り対象者の自宅訪問などを行い、高齢者が孤立しないよう地域づくりを進めてきた。顔と顔が見える活動できめ細やかに異変を察知し、対象者が安心して住み続ける環境を育んできた。
しかし、新型コロナの影響でこれらの地域活動も低調になった。5月下旬に市社会福祉協議会が町内会や老人クラブを対象に行ったアンケートでは、コロナ前から見守り活動を行っていた37団体のうち、継続していたのは半数以下の12団体だった。同様にサロンを開いていた39団体のうち、継続はわずか3団体にとどまっていた。
月1回、茶話会を開いてきた若草団地町内会(橋本春季会長)も、3月から茶話会を中止している。橋本会長は「茶話会は孤独死予防のために大事な活動」と強調しながら「感染が怖くて、今はとてもじゃないが開けない」と語る。
同町内会は7月下旬、住民の生活支援と高齢者の安否確認を兼ね、役員らが全世帯を訪れて見舞金を配った。高齢者が橋本会長の顔を見るなり「聞いてほしいことがあった」と相談を寄せたケースも。橋本会長は「コロナ禍で生活不安が増し、人とのつながりを求めている高齢者が多いと感じた。今できる限りの活動を行わなければならない」と改めて考えている。
◇ ◇
従来とは異なる新たな見守り活動を模索する老人クラブもある。音羽町の住民らでつくる老人クラブ、音羽町緑寿会(姉崎信子会長)は中止している例会の代わりに月1回、姉崎会長が書いた手紙を会員らに送付している。姉崎会長は「返事をくれる人もおり、今までになかった交流が生まれている。人間関係を途切れさせないためにも手紙を出し続けたい」と意欲的だ。
市社協は見守り活動の停滞を防ぐため、市内の町内会などが行ってきた「非接触型」の見守り活動を紹介するパンフレットを作成中だ。犬の散歩中に高齢者宅や町内の様子をさりげなく見て回ったり、自分が元気であることを示す目印を玄関ドアに付け、見守る側がそれを外から確認したりする活動事例を掲載する予定。いずれもコロナ流行前から過度な負担の解消などを目指して取り組んできた内容で、今秋にも町内会などに情報提供する。
市社協地域福祉課の千寺丸洋地域福祉第1係係長は「市内ではふれあいサロンが徐々に再開し始めているが、まだ感染拡大前の1割程度」と指摘。「安心して暮らせる地域の実現のためには、見守り活動は必須。従来の形にこだわらず、人との接触をできるだけ避けた形の見守り活動も推進したい」と話している。
(姉歯百合子)