新型コロナウイルス感染症に対する道の一連の対応を検証する有識者会議(座長・石井吉春北大公共政策大学院客員教授)の初会合が30日夜、札幌市内のホテルで開かれた。初回は「第1波への対応」をテーマに、約2時間にわたり公開で議論。道独自で出した「緊急事態宣言」の評価などをめぐり、活発に意見を交換した、9月上旬をめどに「中間的な検証」をまとめ、道の「第3波」以降への対策に反映させる。
有識者会議は道が設置。国に先駆けて道独自で「緊急事態宣言」(2月28日~3月19日)を発出するなど、道内の感染拡大の「第1波」(2月下旬~3月中旬)と「第2波」(4月中旬~5月下旬)に対する道の施策を第三者が客観的に検証するのが狙い。委員は医療、介護、経済、労働など幅広い分野から計9人で構成し、座長には石井氏が就任した。
初会合では冒頭、鈴木直道知事がこれまでの対応を解説しながらあいさつ。「私自身、考えられる最善を尽くしてきたつもり」としながらも、「これまでの対応をしっかりと振り返って、正すべきところは正す。そしてより効果的な対策を打っていくことが、第3波に備えるために大切」と有識者会議の議論に期待感を示した。
この後、事務局の道が「第1波への対応」を報告。道独自の「緊急事態宣言」については▽道民の命と健康を守ることが第一▽感染の急激な拡大により、医療崩壊といった事態につながることを避けなければならない―ことから、専門家の助言を踏まえて発出を判断したと説明した。
委員からは、道独自の緊急事態宣言について、「全国に先駆けて感染者が増え、手探り状態の中、適切だったのでは。全国的に重要な礎になった」「医療現場の立場として宣言は適切だった」と理解を示す意見が大勢を占める一方、「解雇や時短など副作用があった」「家計や経済に大きな影響をもたらした」との声も出た。
また、学校の一斉休校要請については「子を持つ介護職員の配置に大きな影響が出た」と福祉現場も混乱したことを指摘。第1波の際の検査体制に関しては「円滑に検査ができていたかは疑問。検査体制の拡充がこの時から必要だった」との提言も。感染者情報の開示については「集団感染が発生した医療機関の関係者の子供たちが、学校に来るなと言われるなど、いじめも起きた」との指摘や、詳細な情報が開示されず「市民は混乱した。一考を要する」など、難しさを指摘する意見が相次いだ。
次回は「第2波への対応について」をテーマに、8月6日に開催。3回目以降は「緊急対策(主な経済対策)」「今後の対応について」をそれぞれテーマに議論を続ける。