白老町が6月、新型コロナウイルス感染拡大の影響について町内事業者にアンケートを行ったところ、経営状況が「悪化」「やや悪化」と答えた事業者が全体の約8割に上った。業種別では特に宿泊、飲食、運送が売り上げの減少などで厳しい経営を強いられている状況が調査で浮き彫りになった。町はアンケートの結果を事業者支援の施策に生かす。
■約8割が経営に打撃
調査は町商工会と白老観光協会の会員事業者を対象に6月2~10日に実施し、88事業者から回答を得た。
新型コロナウイルス感染が拡大した2~5月の経営状況を尋ねたところ、40事業者(45・45%)が「悪化」、28事業者(31・82%)が「やや悪化」と回答。合わせて68事業者(77・27%)が経営面でコロナ禍の影響を被ったとした。一方、19事業者(21・59%)が「変わらない」、1事業者(1・14%)が「やや好転」と答えた。
業種別で見ると、「悪化」とした割合が高かったのは宿泊業、飲食業、水産加工業、運送業。感染拡大に伴う外出自粛が長く続いた影響などで飲食業、水産加工業の7割が「悪化」と回答した。観光需要や地域経済全体の冷え込みを背景に、宿泊業、運送業の6割超も「悪化」したとし、売上高や受注の落ち込みで経営に大きな打撃を被ったことも改めて分かった。
売上高の減少幅に関する質問では、「20%以上」が27事業者(30・68%)、「50%以上」が25事業者(28・41%)、「80%以上」が10事業者(11・36%)。業種別では、特に宿泊業の落ち込み幅が大きく、回答者の5割が「80%以上」とした。
■今後も厳しさ続く
売上高の今後の見通しについては、回答88事業者のうち、57事業者(64・77%)が「減少」、25事業者(28・41%)が「横ばい」、5事業者(5・68%)が「増加」、残り1事業者は無回答。コロナ禍の終息が見通せない中で、多くの事業者が今後も苦しい経営が続くと予測した。
資金繰りに関する質問では、回答した事業者全体の5割が「厳しい」と回答。特に宿泊、飲食、小売り、水産加工の各業種の多くが厳しいとし、需要減退で苦境に陥っている実情を物語った。経済対策制度の利用状況に関しては、国の持続化給付金や道の休業協力支援金、町の中小企業等緊急経営支援事業などの利用が多かった。
結果を踏まえ町は「町内事業者も新型コロナの影響を大きく受けている実態が明らかになった。地域経済回復への手立ては重要だ」と強調。これまでに売上高が減少した事業者に対し、給付金事業に取り組んできたほか、新型コロナ対策に充てる第2次地方創生臨時交付金を活用し、下水道料金の軽減措置を講じるなど新たな支援策を予定する。