新型コロナウイルスの新たなクラスター(感染者集団)が15日に札幌市中央区のススキノ地区のキャバクラで発生したことを受け、鈴木直道知事と秋元克広札幌市長は16日、道庁で緊急会談し、今後の対応を協議した。道と市で合同の対策チームを発足させることで一致したほか、ススキノ地区に臨時のPCR検査センターを設置することも決めた。同センターは来週中にも、開設する計画だ。
会談は冒頭あいさつ以外は非公開で開催。秋元市長は「東京都の例から見ても、市中感染の広がりが懸念される。札幌市内はもとより、道内に感染拡大させないために早急な対応が必要だ」と道に協力を要請。鈴木知事も「ススキノの夜の接待を伴う飲食店の集団感染で、大変憂慮している」との認識を示し、「早期に集団感染を収束させていくために、前例にとらわれない対策が必要」と応じた。
終了後、記者団の取材に応じた知事と市長は、(1)合同対策チームの発足(2)ススキノ地区に臨時のPCR検査センター設置―の2点について一致したことを表明。PCR検査センターについて市長は「クラスターが発生した店のみならず、ススキノ地区にある同種の店にも呼び掛け、スタッフ、利用客で気になる人にも保健所に連絡してもらい検査を早期に進めたい」と説明。知事は感染拡大防止の「大きな分かれ目になる」と強調し、「大規模な検査件数になれば、当然、医師や看護師、スタッフも必要になる。力を合わせて体制を整え、検査の実施を速やかに行っていきたい」と述べた。
記者団からの事業者に対する休業要請の考えへの質問に関して、市長は「すすきの観光協会が対策のガイドラインを作り、かなりレベルの高い対策を各店が行っている」と説明。「まずはガイドラインの徹底をお願いし、守れない店があれば次のステップとして、何らかの措置を考えていかなければならない」との姿勢を示した。知事は「ガイドラインや新北海道スタイルを徹底してもらえれば、感染拡大は一定程度防止できる」と強調。「一足飛びに休業要請という形ではなく、さまざまな対策を取っていただくことが、今の時点では何より重要だ」と語った。