アイスホッケー・アジアリーグの王子イーグルスは24日、苫小牧市表町のチーム合宿所で釧路市出身のGK磯部裕次郎(23)の入団会見を開いた。日本学生氷上競技選手権で3連覇経験するなど、通算32回の大学日本一を達成した名門明治大からやって来た年代別屈指の実力者。偶然にも会見日が誕生日とあって「素晴らしい日に会見ができて、とてもうれしい」と語り、「社会人として自覚を持った行動をしながら、王子イーグルスの勝利に貢献できるように早くレギュラーを獲得したい」と力強く抱負を表した。
位置取りやシュートへの反応の速さなどセンスにあふれたGK逸材だが、最大の特長は体全体を目いっぱい駆使したダイナミックなセービングスタイルだ。「攻撃にも参加できるキーパーを目指している」と磯部。ビッグセーブでチームに流れを呼び込むことを常に意識してきたという。
GKになったのは競技を始めて1年後の小学校2年時。指導者からGK転向を打診されたことがきっかけだ。「最初はシュートをただ止めるだけのポジションで、いやいややっていた」と振り返るが、インターネット動画サイト上のNHL(北米プロリーグ)で活躍するGKプレー集を見て「かっこいい」と思いを改めた。
特に憧れたのは、2003年のNHLドラフトで全体1位指名を受けピッツバーグペンギンズに入団したマーク・アンドレ・フルーリー(現ベガスゴールデンナイツ)。09年に優勝杯のスタンレーカップもつかんだ名選手を手本にしながら、「楽しみながらキーパーをやるようになった」。
鳥取中―武修館高でも絶対的守護神として活躍。武修館3年時の全国高校総合体育大会(岩手県)では、埼玉栄、白樺学園、駒大苫小牧を退けて13年ぶり3回目の優勝に貢献した。
明大では1年生から正キーパーの座に就き、16~17年度の日本学生選手権連覇に大きく貢献。18年度は両膝のけがに苦しみながら学生選手権3連覇を経験したほか、ロシア開催のユニバーシアード冬季大会に男子日本代表の一員として出場した。
「キーパーセンスが非常に高い。試合をつくる、チームを勝ちに導く素質を持っている」と菅原宣宏監督は太鼓判を押す。
王子には日本代表経験豊富な成澤優太(33)、小野田拓人(28)の両先輩選手がいる。磯部は「1年目から簡単に試合出場できるとは思っていない。持ち味のアグレッシブさを残しながらセーブの正確性も高めて、試合会場に訪れたファンの方々が驚くプレーを見せたい」と意気込んでいた。
磯部裕次郎(いそべ ゆうじろう) 1997年6月24日、釧路市生まれのGK。同市の強豪鳥取中―武修館高を経て明治大へ進学。16~18年度の日本学生選手権3連覇をはじめ、19年3月にはユニバーシアード冬季大会出場を果たした。U18、U20の年代別日本代表にも名を連ねた経験を持つ。身長172センチ、体重73キロ。背番号は69。