出光興産北海道製油所(苫小牧市真砂町)が15日から実施する大規模な定期補修工事、シャットダウンメンテナンス(SDM)に伴い、道内外から多数の工事関係者が苫小牧市内のホテルに宿泊する。新型コロナウイルスの影響で観光客が途絶えていた宿泊施設は歓迎する一方で、感染防止対策に神経をとがらせる。工事関係者は原則、食事を宿泊施設内で取るよう出光側に求められていることもあり、飲食店は大きな売り上げ回復にはつながらないとみている。
ホテル杉田(表町)は、SDM従事者が最大40人宿泊する。他の工事も合わせて22日から7月末まで、35室が満室という。佐藤聰代表は「売り上げの面ではありがたいが、新型コロナの感染を心配する市民感情も分かる」と配慮を示し、苫小牧保健所の指導を受けながら、きめ細かな消毒など感染防止対策を徹底する。
ビジネスホテルモトナカノ(元中野町)も6月から8月まで、愛知県の企業が施設を貸し切り、SDMの工事関係者26人が宿泊する。しかし感染防止の観点から1室1人の使用とすることもあり、稼働率は100%にならない。通常の食事提供をやめ、宿泊者は近隣のコンビニや弁当店で食事を買って部屋で飲食するという。女将の石渡留美子さんは「客室の清掃も1人1フロアにするなど、感染リスクを抑えるようにしている」と話す。
飲食店を経営する志のぶ(錦町)の高橋憲司代表は「工事が始まっても夜の街は変わらない」と指摘する。4年前のSDMでは中心部の飲食店に大勢の工事関係者が来店し、期間中の売り上げが例年の3割増という「特需」となった。だが、今年は外出しない工事関係者が多いと見込む。
4月20日から休業していた系列の居酒屋鳥亭(錦町)と海鮮茶屋海陽(同)は週明けの16日から営業を再開し、ビニールシートの設置など感染防止対策を徹底する方針だ。
串揚げ屋丈(大町)はSDM以外の工事関係者の利用もある。入り口に消毒液を置き、来店客に消毒の協力を呼び掛けるほか、カウンターの席を少なくして3密を避ける。瀬川真奈美店主は「テークアウトの利用やマスク着用など、みんなが意識して、早く終息してほしい」と願った。