鈴木直道知事は9日、記者会見し、新型コロナウイルス感染症に関する緊急対策の第3弾を発表した。▽新北海道スタイルの浸透・定着(1億6000万円)▽第3波以降に備えた医療提供体制等の充実強化(70億円)▽経済活動の継続と段階的拡大(58億円)▽社会生活・文化活動の継続と安心の確保(171億円)―の4本を柱に、総額300億円の補正予算案を編成。知事は「本道の社会経済活動を本格的な回復軌道に乗せていくための土台づくり」と位置付け、16日開会の第2回定例道議会に提案する。
今回の補正は、融資枠を含めると対策規模は391億円。第1~2弾を含めると予算額の累計は1411億円、対策規模は4022億円となる。
知事は今回の施策構築の基本的な考え方として(1)徹底した感染防止対策(2)社会経済活動のレベルを段階的に拡大(3)新北海道スタイルを各分野で展開―の3点を重視したことを強調した。
補正の柱の一つ「新北海道スタイル―」では、新聞広告などPR活動を展開するほか、「地域の商工団体の協力を得て施設や店舗に対して巡回訪問」をして、取り組みの可視化を促進。新北海道スタイル推進協議会(仮称)も設置する。
「医療提供体制―」では現在、札幌、苫小牧、函館に設置しているPCRセンターを他の地域で大幅に増設。指定医療機関や道立衛生研究所の検査体制も拡充し、唾液によるPCR検査や抗原検査も導入。1日当たりの検査能力を「1500人以上」を目指す。さらにクラスター(感染者集団)が発生した19カ所のうち13カ所が介護・医療施設であったことを重視。発生施設に対する医療従事者や介護職員の応援派遣を支援する。
「経済活動―」では、道民を対象とした「道内旅行商品割引(どうみん割)」を7月から来年1月まで実施する。旅行商品の半額、1人当たり最大1万円を助成する内容で、割引総額は23億円を計上。知事は「道内旅行の85%は道民。観光立国・北海道を再び盛り上げていく。都道府県単位では現時点で、最大規模になる」と説明した。
「社会生活・文化活動―」では、生活困窮世帯に対する「生活福祉資金」に169億円を積み増し。ふるさと納税制度を活用し、目標額1億円で全国から寄付を募り、文化芸術・エンターテインメント活動の再開も支援する。「1億円を原資に、アーティストなどのライブ・公演活動、動画配信などを積極的に応援していきたい」と述べた。
また、知事は「今回は第3弾だが、第4弾となる追加対策の検討も進めている」と説明し、「時機を逸することなくスピード感を持って対応していく」との姿勢を示した。
道の緊急対策「第3弾」の四つの柱と主な事業
【新北海道スタイルの浸透・定着(1.6億円)】
・新聞広告などのPR活動 (4300万円)
・取り組み施設・店舗への巡回訪問 (9000万円)
【第3波以降に備えた医療提供体制等の充実強化(70億円)】
・検体採取に特化したPCRセンターの増設 (8億1300万円)
・札幌、函館など保健所設置市が行う医療提供体制整備への補助
(46億8100万円)
・介護職員などの施設間の応援派遣支援 (6億2100万円)
【経済活動の継続と段階的拡大(58億円)】
・道内旅行商品割引「どうみん割」の実施 (23億円)
・モバイル端末を活用したスタンプラリー実施 (9800万円)
・農業者団体が行う野菜カット加工の共同利用施設の整備支援
(8億円)
【社会生活・文化活動の継続と安心の確保(171億円)】
・生活困窮世帯に対する「生活福祉資金」の積み増し
(169億2000万円)
・文化芸術・エンターテインメント活動の再開支援 (1億円)